漫然と振るな!金本知憲氏、若虎へゲキ“素振りの意味考えろ”

[ 2015年2月14日 07:00 ]

阪神の若手選手に素振りについて提言した金本氏

 伊藤隼は練習での打撃は決して悪くない。いい打球も打っている。しかし、実戦へ進むと結果が出ない。考えられる原因は2つ。打ち方がまだ体に染み付いていない、もしくは、タイミングを取れていない。彼自身が自分をどう分析して何を原因だと考えているのか。それは分からない。

 原因がタイミングと思っているなら、タイミングは打者それぞれに独自の感覚があり、人から教えられるものではない。自分でタイミングを取るイメージを作り上げていくしかない。ただし、ヒントを与えることはできる。

 体験に照らし合わせて話をすれば素振りが大切だった。素振りには2種類ある。(1)スイングの形やバランスを整えるため(2)自分のタイミングを作るため。(2)に取り組む時は対戦経験のある投手をイメージして振った。

 たとえば、中日・川上なら“外カット”(外角のボールゾーンからストライクゾーンへ曲がるカットボール)の軌道を思い浮かべ、振りかぶって左足を上げて球を放すまでの動作を想像し、それに合わせて振った。“内カット”を思い浮かべて振ったこともある。巨人・上原なら追い込まれた後に来るフォークボールや内角直球だった。いろいろな投手のいろいろな球を想定して振った。

 具体的なイメージを頭で描きながら振るから大変な集中力が必要だし、時間もかかった。この練習を繰り返すうちに自然とタイミングの取り方がうまくなっていったように思う。

 実戦で結果が出ないと本人も周りも練習量を増やしたくなる。マシン打撃を長時間やれば「練習をやった気分」にはなれる。それは自己満足でしかない。打撃用マシンの球を打つことは単調な練習だ。打てない原因がタイミングなら一定のリズムで打つマシン打撃では解決にはならない。

 すべての練習には目的やテーマを明確にすることが必要だ。マシン打撃そのものは否定しない。たとえば、逆方向への打撃を習得するために外角にコース設定して反復練習するなら有効だ。同じように素振りも漫然と量をこなすだけでは身にならない。これは伊藤隼に限った話ではない。中谷らにも言えることかもしれない。自分のタイミングを作り上げるための素振りを試してみてはどうだろうか。(スポニチ本紙評論家)

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2015年2月14日のニュース