ロイヤルズ歴史的突破!青木 9回同点犠飛で12回サヨナラ呼んだ

[ 2014年10月2日 05:30 ]

<ロイヤルズ・アスレチックス>延長12回2死二塁、ペレスがサヨナラ安打を放つとベンチから跳び出す青木(中央)

ア・リーグ ワイルドカードゲーム ロイヤルズ9―8アスレチックス

(9月30日 カンザスシティー)
 ミラクル突破だ!大リーグのポストシーズンが30日(日本時間1日)開幕。ロイヤルズの青木宣親外野手(32)は、アスレチックスとのワイルドカード(WC)ゲームで、1点を追う9回に起死回生の同点犠飛を放った。4点差を追いついたチームは延長12回に勝ち越されながらも、その裏に逆転サヨナラ勝ち。29年ぶりに進出したポストシーズンで、同最多タイ記録の7盗塁をマークした。この勢いのまま、2日(同3日)からエンゼルスとの地区シリーズに臨む。

 ロイヤルズ・ナインと4万502人の大観衆が一斉に感情を解き放った。延長12回。8―8の同点に追いつき、なお2死二塁からペレスの打球が三塁線を破った。4時間45分の死闘を制し、逆転サヨナラ勝ち。青木も歓喜の輪に飛び込んだ。

 26日に29年ぶりのプレーオフ進出を決め、5日間で2度目のシャンパンファイト。「何回やっても最高!こういう雰囲気で野球をやりたかった。やっぱり野球選手でよかったという思いにさせられた」。興奮はしばらく収まらなかった。

 ポストシーズンで、シリーズの勝敗が決する「最終戦」で12回以降に決着したのは、1924年のワールドシリーズ第7戦以来、実に90年ぶり。「自分の野球人生で、ここまでもつれ込む試合はあまりなかった」という劇勝を演出したのが、青木だ。8回に3点を返して1点差に迫り、迎えた9回。1死二塁からダイソンが三盗を決めた。ここで「NORI!」コールの大合唱が響いた。

 「ビンビン伝わってきた。何とかしなきゃと思った」。カウント3ボール1ストライクからの93マイル(約150キロ)内角直球を強振すると、フェンス手前まで達する右翼への大飛球。「長打を狙っていた。しっかり捉えれば外野フライになると思った」。同点犠飛には十分な打球だった。

 WCゲームは負けたら終わりの一発勝負。究極の短期決戦でも、青木は平常心を心掛けた。試合前には、球場に出張する美容師に散髪を頼んだ。シーズン中も3週間前後に一度、カットしており「いつも通り」というルーティン。打席では何度もタイムを取った。「(相手先発の)レスターがタイムをかけると嫌がるのを分かっていたし、長くセット(ポジション)を取った時にタイムを取った」。コンタクトレンズを気にするようなしぐさも駆け引きの一つ。この日は無安打ながら、レスターには4打席で21球を投げさせ、1点目につながる盗塁も決めた。

 試合後、デイトン・ムーアGMは今季で契約が切れる青木について「もちろん来季も残ってほしい。彼がいたからポストシーズンに進出できた」と残留を要請する方針を明かした。2日からは、レギュラーシーズンで両リーグ最高勝率のエンゼルスと地区シリーズで激突。「このチームでまだ野球ができると思うと、本当にうれしい」。シャンパンファイトではしゃいだ笑顔は、数分後には勝負師のそれに戻っていた。

 ≪90年ぶり≫ポストシーズン史上、延長12回以降に決着してシリーズの勝敗が決まったのは5度目。しかし、1試合の決定戦を含むシリーズの「最終戦」で12回以降に決まったのは1924年のセネタース―ジャイアンツのワールドシリーズ以来。また、ポストシーズンでの1試合7盗塁は、1907年のカブス、75年のレッズ以来3度目。しかし、7選手が1盗塁ずつ決めるのは初めてで、この試合で8回に記録した1イニング4盗塁も最多記録。

 ▽ワイルドカード(WC)ゲーム プレーオフ拡大のために12年から導入された、地区シリーズ進出を懸けた1試合の決定戦。地区優勝の3チームを除くレギュラーシーズンの勝率上位2チームが対戦する。初めて導入された12年のア・リーグはWC1位のレンジャーズと同2位のオリオールズが対戦。レ軍はメジャー1年目のダルビッシュが先発したが、6回2/3を9安打3失点で敗戦投手となった。

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