福留 甲子園90周年祝うサヨナラ打!目の前敬遠、執念の一打

[ 2014年8月2日 05:30 ]

<神・D>延長10回1死一、三塁、サヨナラ打を放つ福留

セ・リーグ 阪神5―4DeNA

(8月1日 甲子園)
 また福留だ!阪神は1日、延長10回に福留孝介外野手(37)が中前にサヨナラ安打を放ち、5―4でDeNAを下した。阪神のサヨナラ勝ちは今季5度目で、福留自身は今季2度目。90周年を迎えた「聖地」のメモリアルデーで、先発の藤浪晋太郎投手(20)が11安打を浴びながらも球団タイ記録の7者連続三振を奪うなど7回4失点の力投。終盤に追いつかれたが、ベテランの一打で接戦に終止符を打ち、今季50勝目を挙げた。
【試合結果】

 甲子園球場が90周年を迎えたこの日。4―4の延長10回1死一、三塁。運命に導かれたかのように、福留に打席が回ってきた。

 「目の前で(代打関本が)敬遠され、絶対に決めてやると思った」

 この回は先頭で安打を放った鳥谷が暴投で二進。4番ゴメスが外角球を右に打って鳥谷を三塁に進めた。続く代打・関本は敬遠の四球。左腕・大原をマウンドに送っていたDeNAベンチとしては「左対左」に懸けた。福留が7月26日の広島戦(マツダ)で中前打を放って以来、この試合前まで13打席連続無安打とのデータもあった。

 その中で初球、2球目とスライダーで追い込まれての3球目。またスライダー。「前に飛ばせばなんとかなると思った。インサイドにきたら、当たってもいいと」。そう思って振り抜き、しぶとく中前へ運んだ。7月22日の巨人戦(甲子園)でサヨナラ本塁打を放った勝負強さを再び見せ、「何とかみんなが粘った中で勝てたのが大きい」と喜びをかみしめた。

 12年オフ。阪神とDeNAからオファーをもらった福留だったが、条件面ではDeNAが上回っていたにもかかわらず、縦ジマを選んだ。「これが最後の移籍」と死に場所と位置付けた中で、最後の決め手となったのが、甲子園でもう一度プレーしたいという「欲求」だった。「外野手として天然芝でプレーしたい」。PL学園(大阪)時代に春夏合わせて3度、甲子園大会に出場し、高校野球でも日本一を争った「故郷」への思いはずっと胸に生き続けていた。

 今季5度目のサヨナラ勝ちで本拠地の「卒寿」を祝った。和田監督は「どうしても獲りたい、勝たなければいけない特別なゲームだった。関本を送った時点である程度歩かされるのは分かっていたので、最後は(福留)孝介に懸けました」と興奮気味に振り返った。

 甲子園球場を象徴する緑色を基調とした記念のユニホームを着用した福留は、お立ち台で最後にこう結んだ。「僕も高校時代、ここでプレーし、プロ野球選手を目指してきた。だから(記念日に)勝てて良かった」。待っていたのは、高校時代から変わらないファンの喝采と地鳴りのような大歓声だった。

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