聖地の申し子だ!藤浪 球団タイ7連続K、打っては2打点

[ 2014年8月2日 05:30 ]

<神・D>力投する藤浪

セ・リーグ 阪神5―4DeNA

(8月1日 甲子園)
 甲子園の90歳の“誕生日”に「申し子」が躍動した。7回4失点。勝ち星には恵まれなかったが、聖地の節目に阪神・藤浪が圧巻の投球を展開した。

 「三振をそんなに取っていることは知りませんでした。全体的にボールはよかった。前半に限ればですが。(前半好調だった要因は)フォームのバランスがよかったことに尽きる。自分のフォームで投げられたことが、一番の要因と思う」

 覚醒したのは2回だ。バルディリスに2ランを浴び、なおも無死一、三塁。藤浪は、ここでギアを入れ替えた。井納を134キロのカットボールでスリーバント失敗(記録は三振)に仕留め、「藤浪劇場」が幕を開けた。

 続く荒波、石川からも三振を奪い、窮地を脱した。3回には梶谷を155キロ直球、ブランコを134キロカットボール、筒香を143キロフォークと三者三様の調理法で3者連続三振に料理。この引き出しの多さこそ、真骨頂。4回の先頭・バルディリスからも空振り三振を奪い、球団最多タイ記録の7者連続奪三振。小山、村山、江夏、能見という歴代エースに続く、球団史上5人目の奪三振ショーを演じた。

 「バットに当たれば何とかなると思って、必死でバットを振りました」

 バットも熱を帯びていた。同点の4回1死二、三塁では、中前2点打。勝利への執念を見せた。「3点目と4点目の失点はもったいなかった。特に4点目はボール一つ分甘かったので」と振り返ったように、6、7回に2点を失い、リードは吐き出した。それでも勝ち越しは許さなかった。

 藤浪にとって、かけがえのない場所だ。大阪桐蔭高2年まで大一番に弱かった右腕が「勝ち癖」をつかんだ場所こそ、3年春夏の甲子園だった。人生を変えた舞台。「甲子園のマウンドは傾斜がなだらかなので、投げやすい。打者を近く感じるんです」と慣れ親しんだそのマウンドが、今では本拠地になった。その聖地の90歳の誕生日に迎えた、先発機会。白星で飾れれば、最高だった。

 とはいえ、「申し子」の名に恥じない投球は見せた。「失投とか余計な四球からじゃなかったことは、次に生きる」。次につながる収穫を手にした。 

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