広島・戸田　プロ１勝！５回同点３ラン被弾も直後に勝ち越し

＜広・Ｄ＞５回を４失点に抑えプロ初勝利を挙げた戸田

セ・リーグ 広島１１－７ＤｅＮＡ

（7月16日 マツダ）
　景色は最高だ。プロ３年目で初めて上がった本拠地のお立ち台。プロ初勝利を挙げた広島の戸田は笑顔をはじけさせた。

　「ずっと、このヒーローの舞台に立ちたいと思っていた。この日を待ち望んで毎日練習してきた。本当に、本当にうれしい」。強運の持ち主だ。４―０の５回。筒香に３ランを浴びるなど、同点に追いつかれた。ところが、その裏に味方が２点を勝ち越し、待望の白星が転がり込んだ。「“打ってくれ！”と願っていた。野手の皆さんに感謝です」と頭を下げた。

　樟南高（鹿児島）から１１年にドラフト３位で入団。２年目の昨年は２軍でチームトップの８勝をマークし、期待のホープとなった。迎えた３年目、左腕不足に苦しむ１軍から声がかかった。

　６月１３日の西武戦（西武ドーム）以来、今季２度目の先発。１メートル８１、７２キロと細身だが、最速１４７キロの直球は威力があった。スライダーも鋭く、４回まで無失点に抑えた。若さが出たのは勝利投手の権利を意識した５回。「４回までは腕を振り、打者に向かっていけたけど、５回は慎重になりすぎた」と反省した。野村監督は５回の乱調に苦言を呈しつつも、「投手陣に一人でも出てきてほしい中で、合格点でしょう」と評価し、後半戦での先発ローテーション入りを示唆した。

　スタンドには神戸から駆けつけた母・圭子さん（４３）の姿があった。「女手一つで育ててもらった。迷惑をかけたこともあったけど、これからは僕が支えたい」。初めてのウイニングボールは最愛の母に贈る。「これがスタート。きょうは喜びますが、あすから切り替えて白星を積み重ねていきたい」。戸田はそう言って自らを鼓舞した。

　◆戸田　隆矢（とだ・たかや）１９９３年（平５）６月１０日、兵庫県生まれの２１歳。樟南では２年夏からエースを務め、「九州Ｎｏ・１左腕」の異名ながら甲子園出場なし。１１年ドラフト３位で広島入団。１年目の１２年９月１２日の巨人戦（東京ドーム）でプロ初登板を果たした。１メートル８１、７２キロ。左投げ左打ち。