神巨は5人態勢で視察!済美・安楽7K完封 297日ぶり公式戦

[ 2014年7月17日 05:30 ]

<三島・済美>0―0の8回2死三塁、尾崎を三振に仕留め、雄叫びを上げる済美・安楽

愛媛大会1回戦 済美8―0三島

(7月16日 西条ひうち)
 済美(愛媛)の最速157キロ右腕・安楽智大投手(3年)が16日、愛媛大会1回戦・三島戦に先発。昨秋の右肘故障から297日ぶりの公式戦先発で完封勝利を飾った。この日の最速は146キロ止まりも、被安打5、2四死球、7奪三振の力投で初戦を突破した。ネット裏には阪神、巨人など10球団28人のスカウト陣が集結。今秋ドラフトを見据えた“TG場外バトル”が早くも始まった。

 アドレナリンが噴き出した。0―0の8回2死三塁。安楽は三島の4番・尾崎を迎え、打たせて取るつもりはなかった。2ボール2ストライクと追い込み、最後は外角に145キロ直球で空振り三振。「ピンチこそ、三振を狙うところ」と力でねじ伏せ、雄叫びを上げた。気迫の投球が直後の大量8点の勝ち越し劇を呼んだ。

 「昨年までなら打たれていた。抑えることができたのは成長だと思う。負けなかったこと、点を与えなかったことに関しては100点に近い」。昨年9月の秋季県大会で右肘を故障し297日ぶりの公式戦マウンド。ブランクの影響は大きく「夏の雰囲気に入り込めず、やばいと思った」という。最速は146キロ止まり。それでも尻上がりに調子を上げ、習得中のスプリットも駆使して7三振を奪った。116球での完封発進。完全復活とはいかなくても、エースの役目を全うした。

 右腕の尺骨神経まひと診断されたのは昨年9月23日。眠れない日々が続いた。「朝起きたら、投げられるようになってくれ」。練習後、自宅に戻ってもロードワークに出た。筋力トレーニングではスクワットで最大220キロを上げ、下半身を強化。太腿周りは競輪選手並みの68センチになっていた。

 最速157キロ右腕の今夏初登場に、ネット裏には10球団28人のスカウトが集結。巨人、阪神はともに最多の5人態勢で安楽を視察した。巨人・山下哲治スカウト部長は「やはりスケールが大きいし、Aクラスの評価。数字(球速)が戻ってくれば、十分1軍の戦力になる」と即戦力として期待。阪神・中村勝広GMも「ケガの箇所を気にしていないし、腕も振れている。直球が魅力。まだまだ磨けば光る素材」と将来性の高さを評価した。

 主将、エース、4番で迎えた最後の夏。大会前、主将から外れる予定だったが、全部員の強い反対にあった。「みんなから“やっぱり、安楽がキャプテンじゃないと”と言ってもらえた」。帽子のひさしの裏にはこう記した。「皆のために」。仲間に支えられたからこそ、今がある。「自分が点を与えなければ何回延長戦になろうと、負けない。どんな投球でも泥くさく、勝ちにこだわる」。その言葉は力強かった。

 ◆安楽 智大(あんらく・ともひろ)1996年(平8)11月4日生まれの17歳、愛媛県松山市出身。高知市立高須小2年から「高須ザイオン」で野球を始め、投手。小3時に道後小に移り「東雲イーグルス」へ。道後中では「松山クラブボーイズ」に所属。済美では1年からベンチ入りし、昨春選抜で準優勝。昨年選出された高校日本代表では18Uワールドカップ(台湾)で準優勝に貢献。50メートル走6秒5、遠投110メートル。最速157キロ。1メートル88、88キロ。右投げ左打ち。

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