ニック 343日ぶり安打も野村監督「ルイスがきょうはノー感だった」

[ 2013年5月20日 06:00 ]

<ロ・広>6回無死、右前打を放ち一塁コーチャーとグータッチする広島・ニック

交流戦 広島0-7ロッテ

(5月19日 QVC)
 復活を告げる一打だ。左膝手術を乗り越えた広島のニック・スタビノア外野手(31)が19日、ロッテ戦(QVCマリン)で「3番・DH」として342日ぶりにスタメン出場。先頭打者の6回に、343日ぶりの安打を右前へ運んだ。試合は0―7で敗れ、大嶺の前に今季3度目の完封負け。助っ人大砲に笑顔はなかったが、今後の爆発には自信をみせた。

 今季3度目の零敗を喫した千葉の夜。重い空気を引きずるナインとは対照的に、大砲にはエネルギーがみなぎっていた。左膝前十字靱帯(じんたい)と内側半月板を損傷した、昨年6月11日のオリックス戦(三次)から342日目。完全復活への一歩を踏み出した。

 「去年からすごく長かったけど、きょうはよかったよ。4打席立つことができたし、アジャストしてライナーも出たし、ヒットも打てたので」

 前日18日に昇格し、3番・DHで先発したニック。高い修正能力を披露したのは先頭打者の6回だ。カウント2―2から大嶺が投じた、外角低めの127キロスライダーを逆らわず右前へ。6月10日の同カード(マツダ)以来、実に343日ぶりの「H」ランプだった。

 初回1死三塁の先制機であえなく一邪飛。4回の先頭打者では遊ゴロに倒れていた。「最初の2打席はタイミングが合わなかった」。快音を響かせてみせた3打席目。7回2死一、二塁の4打席目、結果的には左飛に終わった当たりも、鋭いライナー性だった。

 目を見張るシーンが試合前後にあった。フリー打撃でサク越えを連発。その度に左翼の赤ヘル党から大歓声が上がる。帰りのバスへと向かう際には「ニック、お帰り!」という声援も。「カープのファンは素晴らしい。暖かく応援してもらい、嬉しかった」。この時ばかりは表情を緩めた。

 しかし、助っ人大砲のDH起用も実らず、打線は今季3度目の零敗。野村監督は「ニックには1本出たけど、ルイスがきょうはノー感だった。外国人2人が打線の中で機能してくれればね…」。6度の得点機がことごとく不発に終わった攻撃をもどかしがった。

 「チームが勝つために(試合に)出るわけだから、負けたのは悔しい。打点を稼ぎたい。チームの勝利につなげるのが、ボクの仕事。打点を挙げられなかった点は、また修正していきたい」

 総じて小粒な打線にあって、その一発長打は大きな魅力。復活を誓うニックのエネルギーが、自身の爆発はもちろん、チームを浮上へと導く。

 ▼広島・新井打撃コーチ(零敗を喫した攻撃陣について)大嶺に完封されるのは寂しい。(1死三塁でニックが一邪飛に倒れた)初回に点を取っていれば。最近は犠飛で点を取ることが多かったので。ニック? ヒットは出たけど、初スタメンで力みがあったのかな。

続きを表示

2013年5月20日のニュース