桐光 松井 圧巻18K!DeNA高田GM「1位以外はない」

[ 2013年5月20日 06:00 ]

<桐光学園・花咲徳栄>延長12回1死二、三塁、桐光学園・竹中のサヨナラ打で三走・松井はガッツポーズで生還

春季高校野球関東大会2回戦 桐光学園4―3花咲徳栄

(5月19日 宇都宮清原)
 昨夏の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を樹立した桐光学園(神奈川)の松井裕樹投手(3年)が19日、第65回春季高校野球関東大会2回戦・花咲徳栄(埼玉)戦に先発し、公式戦自己最多となる168球の熱投。プロ12球団とメジャー球団スカウト44人が見守る中、延長12回で6安打3失点も18三振を奪い、最後は自ら決勝ホームを踏んでサヨナラ勝ちを収めた。20日に準々決勝で前橋育英(群馬)と対戦する。

 言葉にならない雄叫びを上げた。延長12回、松井は先頭で右前打を放ち、1死二、三塁から竹中の中前打が飛び出すと、左腕で大きくガッツポーズを見せてサヨナラのホームを踏んだ。

 「勝ち切ることができたのはチームの強さ。粘り強く勝ちにつなげることができた」

 公式戦自己最多の168球を投げ抜いた。甲子園の快投から9カ月。宇都宮清原球場に詰めかけた1万500人の大観衆の前で、進化した姿を見せた。慣れない赤土のマウンドに「硬くて投げにくかった」と序盤は不安定だった。4回に暴投で先制点を許し、6回には左中間二塁打を浴びて2失点。だが、味方が6回裏に3点を入れ、同点とすると、別人のように立ち直った。

 「打たれた後でも落ち着いて投げることができた」。6回まで5安打3失点だったが、7回からの6イニングは1安打無失点。硬いマウンドに適応するため、あえて力を抜いた。「以前に比べるとリセットできる。成長している」と野呂雅之監督。初回に145キロを計測した直球は、中盤以降は130キロ台になったが、脱力投法で切れは増した。

 昨夏以来の松井視察となったブレーブスの大屋博行国際スカウトは「技術、引き出しは大谷投手よりも持っている。大谷投手は負けてしまうことがあったけど、彼は勝てる投手」と評した。昨年、メジャー挑戦を目指した日本ハムの二刀流ルーキーを引き合いに出して絶賛した。

 「調子が悪かったので打たせて、凡打で打ち取ろうと思った」と松井は言うが、結果は18奪三振。スライダーで半数の9個を奪い、チェンジアップとカーブで1個ずつ。残りの7個が直球だった。4回、中学時代に青葉緑東シニアでチームメートだった3番・楠本への4球目。鋭いスライダーはベースの約1メートル前でワンバウンドしたが、楠本は「直球に見えた」と、空振り三振に驚きの声を上げた。

 スタンドからはスカウトの熱視線を浴びた。松井を初めて生観戦したDeNAの高田繁GMは「(指名するなら)1位以外はない。うちは一番いい選手を獲りにいく」と今秋ドラフトで1位指名する可能性を示唆した。現時点で進路を決定していない怪物左腕は「高いレベルの場所で野球を続けたい」と話す。だが、プロからも「勝てる投手」としての評価は高い。争奪戦はさらなる熱を帯びそうだ。

続きを表示

この記事のフォト

2013年5月20日のニュース