栗山監督 大谷説得出馬へ「命懸けで頑張るしかない」

[ 2012年10月25日 06:00 ]

3時間に及ぶスカウト会議を終え、大谷を指名することを確認した日本ハム・栗山監督

 「プロ野球ドラフト会議 supported by TOSHIBA」は25日、都内ホテルで午後5時から開催される。日本ハムの栗山英樹監督(51)は24日、都内で行われたスカウト会議に出席。メジャー挑戦を表明した岩手・花巻東の160キロ右腕、大谷翔平投手(18)を強行指名することを明言した球団の方針に理解を示し、獲得に全力を尽くす考えを明かした。

 ドラフト前日のスカウト会議は約3時間にも及んだ。会議を終え、報道陣の前に姿を見せた栗山監督は苦悩の表情を浮かべながらも、言葉には強い決意をにじませた。

 「大谷君には迷惑が掛かってしまうかもしれない。でもファイターズで1年間やらせてもらってうちの素晴らしい選手とやってもらうことが大谷君にとって絶対プラスになると信じている」

 18歳が下した大きな決断に対し、何度も「申し訳ない」という言葉を使った。しかし、日本ハムの監督としても覚悟を決めた。「どういう結果になるか分からないけど、命懸けで頑張るしかない」ときっぱり言った。

 前日、山田正雄GMが米球界挑戦を表明した大谷を強行指名する方針を明かした。札幌ドームで全体練習の指揮を執っていた指揮官は「本当にビックリした」という。しかし、スポーツキャスター時代から取材を重ねていた右腕の実力は十分分かっている。昨年、初めて見たときは「高校生でこんな球を投げる投手がいるんだ」と、当時2年生だった大谷の投球に衝撃を受け、かねて「ダルビッシュになれる素材」と評価してきた。

 だからこそ、獲得のために全力を注ぐ。昨年は巨人と相思相愛だった菅野を強行指名したが、入団合意に至らず。2年連続でドラフト1位が入団しないというリスクは大きいが「ファイターズの考えを理解し、それが好きでユニホームを着させてもらった。方針を貫いてくれることの方がうれしい」。その年一番の選手を指名するという球団の方針に理解を示した。

 チームは6年ぶりの日本一を目指し、27日から巨人との日本シリーズに臨む。それでも「大事な戦いがあるが、できる限りのことはしようと思っている。僕のできることはしたい」と口を真一文字に結んだ。仮に競合となれば自らクジを引く。日本シリーズ期間中に説得に出向くことは難しいが、直筆のメッセージを手渡すことで、思いを伝えることは可能だ。

 球団としても、ダルビッシュや中田ら高卒選手を育てた育成システムをアピールする方針。また昨オフ、入札制度でメジャーに移籍したダルビッシュが背負っていた「11」は空き番号となっており、大谷ならば後継者としてもふさわしい。「説得できるかどうかは分からないけど、信じて前に進むしかない」。真っすぐ前を見据えた熱血指揮官が、大谷にその熱い思いをぶつける。

続きを表示

2012年10月25日のニュース