CS崖っ縁残った!サヨナラ弾の稼頭央 星野監督猛ゲキで無心に 

[ 2012年9月25日 06:00 ]

<楽・ソ>延長10回、サヨナラ弾を放った楽天・松井(右)は星野監督に迎えられる

パ・リーグ 楽天3-1ソフトバンク

(9月24日 Kスタ宮城)
 崖っ縁で踏みとどまった。楽天の松井稼頭央内野手(36)は24日のソフトバンク戦で、同点の延長10回にサヨナラ2ラン。負ければ自力でのCS進出の可能性が消滅する一戦で劇的勝利を収め、3位・ソフトバンクとのゲーム差を3に縮めた。松井のサヨナラ弾は西武時代の02年以来、10年ぶり。先発で9回1失点の田中将大投手(23)の熱投も報われた。残り12試合で直接対決は3試合。奇跡を信じて戦う。

 無心でバットを振った。松井が描いた放物線は左翼席の中段まで到達した。サヨナラ弾は西武時代の02年8月9日のオリックス戦(西武ドーム)以来、実に10年ぶりだ。この日の仙台市内の最高気温は21度。恒例のウオーターシャワーをナインにかけられ、ずぶ濡れになったヒーローは「ちょっと水は考えなきゃいけない。だって寒いもん」と笑った。

 「(田中)将大が頑張っていて、自分にチャンスが2回あったけど打てなくて申し訳なかった。でも最後にこれ以上ない結果が出たのでうれしい」

 先発した田中が9回1失点と力投。松井は6回無死一、三塁、8回2死三塁の勝ち越し機でいずれも凡退していた。延長10回1死一塁。簡単に2球で追い込まれ、ベンチの星野監督から「決めろ!」と猛烈なゲキが飛んだ。「結果をどうこう考えても仕方ない」と割り切り、1ボール2ストライクから4球目の低め直球をフルスイングした。

 2つの「人格」を使い分けている。PL学園までは右打者だったが、 西武に入団した94年からスイッチ打者へ。18年が経過した今でも「左打席はチェックポイントがたくさんあるから、常に冷静な気持ちで打席に入る」と言う。一方の右打席は「子供の頃から打っていたから、本能に任せる感じ」。右の摂津との対戦だった8回までの4打席は左打席だったが、延長10回のマウンドは左腕の岡島。余計な邪念もなく入り、汚名を返上する一撃を見舞った。通算4本目のサヨナラ弾だが、右打席では初めてだった。

 試合時間は、規定で新しいイニングには入らないちょうど3時間30分。負ければ自力でのCS進出の可能性が消滅していた試合で引き分けも負けに等しかった。これで3位のソフトバンクとは3ゲーム差。直接対決は残り3試合あり、道のりは険しいながらも逆転CS進出の可能性は残されている。正念場だった同4連戦は雨天中止も含めて1勝1敗1分けに終わったが、チームが勢いに乗れるサヨナラ勝利に、星野監督は「(松井が)自分で責任を取ったな」と表情を緩めた。

 西武では日本一、メジャーではワールドシリーズ出場の経験もある松井は創設8年目の楽天にとって貴重な存在。「負けられない試合は若手の経験になるし、チーム力のアップにもつながる。これからは気持ちも大事」。残り12試合。百戦錬磨の男が崖っ縁で放った一発は逆転CSへの号砲になるかもしれない。

 ≪史上10人目≫松井(楽)が西武時代の02年以来10年ぶり4本目のサヨナラ本塁打。サヨナラ本塁打の最長ブランクは57年古川清蔵(阪急)の15年ぶりだが、10年ぶり以上は10年城島(神=10年ぶり)以来史上10人目となった。また、過去3本はオリックスの萩原、今村、山口と全て右腕から左打席で打ったもの。右打席でのサヨナラ弾はこの日が初めてだ。これで、松井のサヨナラ打は今季3本目(通算10本目)。楽天でシーズン3本は今季岡島ら7人の各2本を抜く球団最多記録になった。

 ▽02年8月9日・オリックス戦 (西武ドーム)
オリックス
 003 000 000―3
 001 010 002―4
西 武

 「1番・遊撃」で先発した松井は9回1死一塁から逆転22号サヨナラ2ラン。オリックス・山口の147キロ内角直球を強振し、右中間スタンドに叩き込んだ。同年は5月11、12日のオリックス戦でもサヨナラ本塁打しており、シーズン3本目のサヨナラ本塁打は球団史上初の快挙。72日ぶりに先発復帰した松坂の黒星を消す一発だった。

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