黒田“魔球”カットボール解禁 左打者対策収穫の試運転

[ 2012年3月14日 06:00 ]

<ヤンキース・アストロズ>特にカットボールを調整投球し、3回を2安打無失点に抑えたヤンキース・黒田

オープン戦 ヤンキース3―4アストロズ

(3月12日 タンパ)
 カッターで左斬りだ!ヤンキースの黒田博樹投手(37)が12日(日本時間13日)、オープン戦2度目の登板となるアストロズ戦で「魔球」を解禁した。3回42球のうち、左打者対策として2種類のカットボールを計11球試投。微妙な変化のため操るのが困難な球種だが、左の強打者がそろうア・リーグ東地区に移籍した今季の鍵となるボールだ。開幕へ向け、さらに魔球の精度を高めていく。

 試合後、ジョー・ジラルディ監督は黒田の投球を「安定感がなく、前回より制球も乱れていた」と評した。それは本人も承知の上だ。なぜなら「魔球」を試したから。「しっかり課題を持ちながら投げられた」。相手はリーグが違うアストロズで、打者9人中8人が左。絶好の機会だった。

 「フォークを使えばもう少し楽にいけたかもしれないけど、カッター(カットボール)を多めにしました」。3回1死二塁。9番ゴンザレスへの2球目、内角に食い込むカットボールでファウルを打たせて追い込む。その残像が効いた。次の球、同じ内角のボールゾーンからシュートしてストライクゾーンに入るシンカーで見逃し三振だ。

 「カッターがあったからシンカーも生きた。収穫です」。横滑りと、浮き上がって見えるライジングの2種類。これが最も効果を発揮したのは一昨年の後半戦だ。被打率・204。カットボールが会心の当たりをされたことは皆無だった。キャッチボールでは相手に直球に見え、「ビデオ(分析)でもそうとしか見えない。それが(実際に)打ちにいったら、ほんのちょっと動いている」という。投げ込まないとイメージ通りの軌道を描かないのが難点だが、宿敵レッドソックスにはゴンザレス、オルティスら左の強打者がズラリ。本拠地ヤンキースタジアムも右翼が狭く左打者に有利なだけに、開幕から武器にできれば大きなアドバンテージになる。

 「今まで以上にカッターの必要性が上がると思う。幅を広げるために大事」。オープン戦登板は残り4試合。3年ぶりの世界一奪回へ、左打者をねじ伏せるために魔球を理想の変化に近づける。

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2012年3月14日のニュース