聖地の象徴・ツタもリニューアル工事から“復興”

[ 2011年8月5日 17:00 ]

甲子園球場の外壁に育ち始めたツタ

 6日に開幕する第93回全国高校野球選手権大会が開催される兵庫県西宮市の甲子園球場では、改修工事に伴い伐採され、再生中のツタが徐々に育ち始めている。東日本大震災の被災地の復興を支援すると位置付けられた今大会。復興に向けた歩みのように、球児の“聖地”の象徴もかつての姿を取り戻そうと、ゆっくりと前に進んでいる。

 甲子園にツタが登場したのは球場が完成した1924年。コンクリートの壁に化粧を施すためだった。その後もアルプススタンドや外野席の建設に合わせて植樹。ついには外壁を覆うようになったツタは甲子園の代名詞となった。

 戦争の空襲で火災が発生してツタも大きな被害を受け、復旧したことがあった。今回は球場のリニューアル工事によって伐採し、再び植樹している。

 ツタは球児と甲子園を結ぶ存在でもある。日本高野連は2000年、当時加盟していた4千以上の高校にツタの苗木を贈った。再生中のツタの中には、これらの高校が育ててきた苗木が含まれている。再び外壁を覆うようになるのは19~20年ごろになる予定だ。

 今大会は、被災地の球児も甲子園の土を踏む。阪神電鉄甲子園事業部の村山学課長補佐(48)は「ツタは粘り強く、ぐんぐん上に伸びる。ツタのように復興に向け進んでほしい」と話している。

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2011年8月5日のニュース