上原がオリオールズ日本人選手第1号?

[ 2008年11月11日 06:00 ]

早く、そっちに行くぞ~心は海の向こう?FA権利を行使し、メジャー挑戦をすることになった上原浩治

 FA権利を行使する手続き期間がスタートした10日、メジャー挑戦を表明した巨人・上原浩治投手(33)について、オリオールズが獲得に乗り出すことが分かった。アンディ・マクフェイル球団社長(55)が同投手を補強リストの最上位に位置づけていることを明かしたもので、今季から国際スカウト部門を拡張したオ軍がチーム再建の目玉として、日本を代表する右腕の獲得を目指す。契約交渉は20日から解禁となる。

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 日本シリーズが終了し、FA宣言期間が解禁となったこの日、上原獲得へいち早く“名乗り”を上げたのはオリオールズだった。本紙の取材に対してマクフェイル球団社長は「日本には経験豊富なプロフェッショナルがたくさんいる。上原?その通りだ」と語った。
 オ軍は今季国際スカウト部門を拡張。ストックスティル国際部長を初めて日本に派遣した。日本選手のプレーをチェックしてきた同部長は「外国では1番にドミニカ共和国、2番がベネズエラ、そして3番に日本が大事」と発言。ア・リーグ東地区で唯一、過去も含めて日本人大リーガーの所属がない球団で、他球団に後れをとってきたが、すでに日本選手30人の獲得リストを作成済み。その最上位に上原をリストアップした。
 今季のオ軍は4月を勝ち越すなど好スタートを切ったが、中盤以降失速して地区最下位に終わった。マクフェイル社長は「この地区には楽に勝てるチームはない。投手陣が崩壊してしまった。ストライクが取れず自滅した」と敗因を分析している。チーム防御率は30球団中29位の5・13で、四球は30球団でもっとも多い687だった。その点、上原は制球力抜群で四球の心配はない。97年の地区優勝を最後に優勝争いすらもできていないチームの抜本的改革へ、上原はうってつけの存在となる。
 さらにマクフェイル氏は「今季のタンパ(レイズ)はわれわれのいい手本になっている。岩村はチームの中で大切な役割を果たしていた。今のわれわれに必要なのは経験のあるベテランだ」と語る。オ軍の先発陣は全員20代と経験が浅い。上原なら五輪やWBCなど国際経験豊富で、投手陣のリーダーになれると球団は評価。若い選手が多いチームを引っ張り、レイズの快進撃を支えた岩村と同じ役割を右腕にも期待している。
 現時点で上原獲得の方針を明確に打ち出しているのはオリオールズだけ。オ軍入りとなれば同地区のヤンキース・松井、レイズ・岩村との対戦や、レッドソックス・松坂との投げ合いなど日本人ファンにとってはたまらない対戦カードが増える。だが、資金力ある球団もブルワーズからFAとなったサバシアら大物FA投手の動向次第で上原獲得に動く可能性はある。日本でFA権を行使した選手の交渉解禁日は今月20日だが、交渉が本格化するのは12月上旬のウインターミーティング以降となりそうだ。

 ≪「初志貫徹で大リーグに挑戦する」≫巨人・上原は日本シリーズ終了から一夜明け、球団施設には姿を見せず静養に努めた様子。前夜、西武との日本シリーズ第7戦(東京ドーム)後は自らの去就に関して「特に何もない」と話したが、この日は「初志貫徹で大リーグに挑戦する。(4月に不調で2軍落ちするなど)苦しい時期もあったが気持ちはぶれなかった」と決意を語った。近日中にもFA権行使に必要な書類を提出し、代理人も選定する。早ければ今月中に家族と渡米し、環境の視察も行う見込みだ。また、清武球団代表は前日に上原と会談したことを明かし「彼の意向は受け止めた。10年間よく耐えてくれたことに、素直にありがとうと言った」と話し、本人の意思を尊重する姿勢を示した。

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2008年11月11日のニュース