【元横綱・稀勢の里コラム】日本人初NFL選手へ 松澤寛政さん 活躍し“パイオニア”になって 

[ 2026年5月5日 07:00 ]

松澤寛政とレイダースの契約を伝えるハワイ大フットボール部の公式インスタグラム

 日本のスポーツ界には次々とビッグニュースが舞い込んできます。先月の26日(現地25日)に行われたアメリカンフットボールの最高峰NFLのドラフト会議。ハワイ大のキッカー松澤寛政さんは史上初の日本人指名はならなかったものの、レイダーズとドラフト外の新人として契約しました。過去にもドラフト外から出世して活躍する選手もいるようですから、ここからが本当の勝負です。

 松澤さんは高校時代はサッカー部に所属してFWだったようですが、渡米後にアメフトに魅了され20歳になって転身。独学でキックの精度を高めるなど本人の努力も半端じゃなかったと思いますが、ここまでたどり着いただけでも大したものです。

 フットボール(NFL)、野球(MLB)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)…。北米4大プロスポーツと呼ばれている中でNFLは過去にプレーした日本人選手がいない唯一の競技です。いろんな役割を担った選手が多いとはいえ、ボブ・サップのような「動ける野獣」がひしめき合うような領域で、日本人には縁が薄いといわれていました。コンタクトプレーがほとんどないキッカーなら可能性はあるかなと思っていましたが、やっぱり“第1号”はそうでしたね。

 ただし、キッカーはメンタルでの強さも求められるポジションです。決めて当たり前、自分のプレーで試合の勝敗が決まるケースは常に想定されます。しびれる場面で大役を任されるわけで野球のクローザーと、アメフトのキッカーは一番なりたくないともいわれているようです。ミスを重ねれば解雇されることもあるシビアなポジションですが、逆に安定したプレーができれば40歳を超えてもプレーできる利点はあります。最近は50~60ヤードを平気で決める人も出て、年々レベルも上がっています。

 今やメジャーリーグやNBAなどで日本人選手の活躍を耳にしない日はありません。メジャーリーグでは今年から海を渡った岡本和真(ブルージェイズ)、村上宗隆(ホワイトソックス)ら内野手が奮闘。岡本は守備でも頑張っていますし、本塁打を量産する村上も伸び伸びとやっている印象です。反発係数が日本より高いので飛ぶんですかね。打者有利な傾向も味方にできているのでしょうか。

 彼らが今あるのは、野茂英雄選手ら“パイオニア”の存在が大きいと思います。世界最高峰で成功した姿を見て「オレもできる」と自身を持って挑戦している。そういった意味でも松澤さんにかかる期待は大きくなります。アメフトも日本では地上波での放送がなくなるなど人気も下火。日本人選手がNFLで活躍するようなことがあれば野球のように続く選手が出てくることは間違いありません。

 松澤さんはすでに新人ミニキャンプに合流。9月の開幕まで登録枠を巡る激しい争いが待っています。選手登録されれば最低年俸の88万5000ドル(約1億4000万円)を受け取れる。まさにアメリカンドリーム、ぜひとも残ってほしいものです。日本人初の快挙へ、アメフトファンの一人として、27歳の挑戦にエールを送りたいと思います。
 (元横綱・稀勢の里)

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