久保凛 なでしこより陸上を選んだワケ インタビューで語った過去、現在、未来 そして夢の世界記録へ
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陸上の女子800メートル日本記録保持者の久保凛(17=東大阪大敬愛高)が、9月の世界選手権東京大会の代表選考会を兼ねる日本選手権(4~6日、国立)を前にインタビューに応じた。自国開催の大舞台に立つため、参加標準記録(1分59秒00)突破を一つのターゲットに据える現在。祖母・浩子さんの影響で競技を始めた過去、そして思い描く未来も含めて語った。 (取材・構成 西海 康平)
久保は現在、日本選手権に向けて最終調整に入っている。5月以降に2度の菅平合宿を敢行。標高1300メートルにあるトラックなどで走り込み「酸素が薄い場所で持久力も鍛えられている。調子を上げられている」と手応えを口にする。
シーズン前にはインフルエンザを患うこともあったという今季。5月3日の静岡国際で2分0秒28をマークして世界陸上の開催国枠記録をクリアしながら、同11日の木南記念や5月末のアジア選手権では伸びを欠いて2位に終わった。昨年7月に出した自身の日本記録(1分59秒93)をなかなか打ち破れないが、悲観はしていない。
「去年よりもスピードを上げられるようになったし、持久力もついていると思う。レベルを上げてこられているので、焦らずに取り組んできた。日本選手権では2分を切れたら」
幼稚園児の頃は「よく家で絵を描いていたみたい」という。運動も好きで「いとこ(久保建英)もお兄ちゃんもしていた」という理由などから小学1年でサッカーを始めた。憧れたのは、なでしこジャパンの澤穂希やブラジル代表のネイマール。一方で低学年の頃から、サッカーの練習がない日には祖母の浩子さんが教える陸上クラブにも行った。高学年になると地元の駅伝大会に出場して区間新記録をマーク。サッカーは大好きだったが、少しずつ意識は陸上へと傾いていった。
「サッカーより陸上の方が向いてるなっていうのは感じていて、家族にも“陸上しなよ”っていう雰囲気はあった(笑い)。祖母が見てくれるというのもあったし“陸上にしよう”と決めました」
6年間続けたサッカーを辞め、中学では陸上部に入部。火、木に部活に行き、月、水、金は浩子さんが教える陸上クラブへ。土曜は部活を終えてから陸上クラブへと行った。当時はまだ精神面が弱く、浩子さんに「試合に出たくない」と打ち明けることも。「そんなんやったらサッカーを続けたら良かったやん」と突き放されることもあったが、力をつけ、中学3年時の全中で800メートルを制して日本一に輝いた。
昨年の日本選手権を制し、日本記録も樹立。今季は自国開催の世界選手権への出場、そして大舞台で決勝に残ることを目標に掲げてきた。その先にある未来のイメージは何なのか――。
「自分は800メートルという種目で世界に通用する選手になりたいと思っている。競技を続けるからには、たとえ達成できなかったとしても、一番上の世界記録(1分53秒28)を目標にして頑張っていきたい」
日本女子では北口榛花が世界選手権と五輪で金メダルを獲得。同じ中距離では田中希実が世界と戦い続けている。「北口さんはメダルを獲っていて、田中さんは中距離っていう難しい種目で活躍されている。自分もそういった選手になりたいし、その選手を目指して、その上を行けるように頑張りたい」。陸上界をけん引する姿を思い描きながら、競技に打ち込んでいく。
【久保凛はこんな選手】
☆生年月日とサイズ 2008年(平20)1月20日生まれ、和歌山県串本町出身の17歳。1メートル68。
☆サッカー 小学1年から始めて串本JFCでプレー。和歌山県U―12トレセンメンバーに選ばれたこともある。日本代表の久保建英(レアル・ソシエダード)はいとこ。
☆陸上 潮岬中から本格的に始め、当初はハードル種目に取り組んだが、中1の途中から中距離へ。中3で全中の800メートルで優勝。東大阪大敬愛高に入学し、高1で総体の800メートルを制覇。高2で臨んだ昨年の日本選手権で800メートルを初優勝。7月の記録会で日本記録を樹立。
☆息抜き 和歌山を離れて母らと大阪で生活。飼っているシーズーの雄の犬「ふうた」が癒やしの存在。ツンデレ系だといい「帰ったら寄ってきてくれるけど、それ以外は“ほっといて”みたいな感じ(笑い)」。
▽日本女子と800メートル これまで五輪に出場した選手は1928年アムステルダム大会の人見絹枝と、64年東京の木崎(現姓藤本)正子、04年アテネの杉森(現姓佐藤)美保の3人だけ。人見は本職の100メートルで準決勝敗退するとエントリーだけしてあった800メートルに急きょ挑戦し、日本の女子選手初の表彰台となる銀メダルを獲得した。木崎、杉森は予選落ち。
≪監督が明かす安定感≫
東大阪大敬愛高陸上部の駅伝(長距離)を束ねる野口雅嗣監督(56)は、久保の成長を感じ取っている。高校入学後に進化したのが体幹の強さ。日々の練習の積み重ねで年を追うごとに走りに安定感が増しており「体がブレなくなって、スピードが上がってきた」と語る。久保には一貫して独自のメニューを与え、伸びしろを制限しないため基本的に1人で走らせる。厳しい練習でも絶対に妥協しないといい「自分の力を引き出そうとする力が他の選手よりもある」と強さの一端を説明した。
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