張本美和 小学生で決意、中1で覚悟…悲願頂点へ卓球人生の岐路振り返る 兄・智和と挑むパリ
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卓球女子日本代表でパリ五輪の団体戦メンバーに選ばれた張本美和(16=木下グループ)が、兄・智和(20=智和企画)と初の兄妹出場でそろってメダル獲得を目指す。東京五輪後に急成長し、2年前に624位だった世界ランキングは現在自己最高の7位。伸び盛りの高校1年生が2歳から始まった卓球人生を振り返り、夢舞台への決意を語った。 (取材・構成 西海 康平)
美和は今、自分自身と向き合いながら海外ツアーを転戦している。昨年12月に名古屋で開催されたWTTファイナルで世界ランク1位の孫穎莎(ソン・エイサ、中国)を追い詰めながら、フルゲームの末に惜敗。絶対女王との熱戦でさらなる飛躍が期待されたが、最近では中国人選手に苦戦が続く。「相手が慣れてきた時に出せる新しいものがなかったり、対応されると得点できないのが課題。(今年の対戦は)本当の実力だと感じている」。パリ五輪に向け、対策を上回ろうと準備を進める日々だ。
ただ、ここ数年の成長ぶりには目を見張るものがある。シニアの国際大会に本格参戦した昨年、世界ツアーで2勝。22年3月に624位だった世界ランクが18日発表の最新版では7位となった。約2年間に及んだ五輪代表の選考レースでは伊藤美誠(スターツ)に次ぐ4位だったが、シングルス代表の早田ひな(日本生命)平野美宇(木下グループ)に続いて団体戦要員の3枠目に選ばれた。評価されたのは、メダルを争う中国人選手に対する強さ。女子代表の渡辺武弘監督は「海外で勝てる選手ということで選出した」と語る。
2歳で卓球を始め、常に5歳上の兄・智和が前を走ってきた。小学生になると成績などで比べられる機会が増え「やりたくない」と思うことも増えた。美和にとっての卓球は「両親とお兄ちゃんがやっていたので、何となく」という程度。当時は学業も頑張っており、算数が得意だった。「勉強して大学に行って、そこでやりたい仕事を見つけられたらいいな」。そう思う日もあった一方、小学1年で全日本選手権バンビの部(小学2年以下)で優勝。小学5年で同ホープスの部(小学6年以下)を制する。圧倒的な将来性を周りが放っておくはずはなく、神奈川にある木下アカデミーから誘いを受けた。
生まれ育った仙台にとどまるのか、それとも…。小学校は1学年1クラスだけ。全員が同じクラスで6年間を過ごした。周りは仲の良い友達ばかりで、地元を離れたくない思いは強く、悩んだ。「行きたくない」「卓球を頑張りたい」――。気持ちは揺れながら、最後は「ここで行かなかったら後悔する」と上京を決意した。「最初から夢は五輪だったけど、昔は“無理だったらいいや”ぐらい。でも、中1ぐらいから“絶対に行きたい”“金メダルを獲りたい”ってなってきた」。卓球で世界一を目指す覚悟が決まった。
厳しい環境に飛び込み、卓球に対する向き合い方も変わった。「小学生の時は言われた練習をやっていたけど、中学生になってからは自分で練習メニューも考えるようになった」。当初、目標には定めていなかったパリ五輪出場。智和が選考レースでトップを突き進む中でも「お兄ちゃんが先に決まっていて、私は追う立場。間に合うとは思っていなかった」。それでも、中学2年から海外ツアーに多く出るようになって周囲が驚く成長曲線を描き、国内の選考大会でも結果を残すようになる。04年アテネ五輪の福原愛、16年リオ五輪の伊藤と並び、高校1年で夢舞台に立つ権利を手にした。
智和とともにパリへと向かう。小さい頃はゲーム機の取り合いでケンカすることもあったが、今も昔も変わらず仲がいい。「(兄と)一緒に行けるのはうれしいし、頑張りたい気持ち。平野選手と早田選手とメダルを目指して頑張りたい」。今月16日に誕生日を迎えたばかりの16歳が、兄妹メダル、そして日本勢にとって悲願の団体金を目指す。
◇張本 美和(はりもと・みわ)2008年(平20)6月16日生まれ、仙台市出身の16歳。父・宇さんがコーチ、母・凌さんは95年世界選手権の中国代表。2歳で卓球を始め、仙台ジュニアクラブでプレー。中学から木下アカデミーに所属し、現在はTリーグで神奈川の一員。15年に全日本選手権バンビの部で優勝。21年に世界ユース選手権U15で4冠。全日本選手権のジュニアは今年1月に連覇。1メートル66。趣味はダンスを踊ること。
【日本女子の五輪団体戦】
☆08年北京 この大会から団体戦が採用され、日本女子は福原愛、平野早矢香、福岡春菜のメンバー構成。1次リーグ2位となって回った敗者復活戦で2連勝を飾ったが、3位決定戦で韓国に敗れて4位に終わった。
☆12年ロンドン 福原愛、石川佳純、平野早矢香。準決勝でシンガポールを3―0で破り決勝へ。中国には0―3で敗れたが銀メダルを獲得し、これが日本卓球界で史上初のメダルとなった。
☆16年リオ メンバーは福原愛、石川佳純、そして15歳の伊藤美誠。準決勝でドイツに2―3で敗れて3位決定戦に進んだが、シンガポールを3―1で下して銅メダル。
☆21年東京 石川佳純、伊藤美誠、平野美宇。1回戦から準決勝まで全てストレート勝ちを収め、決勝で中国と激突。0―3で敗れて銀メダルとなった。
《兄・智和は3種目メダル目指す》
○…兄の智和はシングルスと団体戦、早田と組む混合ダブルスの3種目に出場する。初出場だった東京五輪は団体戦で銅メダルに輝きながらも、シングルスは4回戦敗退。当時を「ラケットを握っていないと落ち着かない日々だった」と振り返る。その反省を踏まえて「出る以上はもちろん金メダルが最大の目標だし、3つのメダルが求められる。でも、できるだけ期待しすぎず、バランスを保って戦いたい」と自然体で戦うつもりだ。
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