パリ五輪まで半年 五十嵐カノアが誓う“運命の海”で金メダル
7月26日のパリ五輪開幕まで、あと半年。21年東京大会で初採用されたサーフィンで銀メダルを獲得した男子の五十嵐カノア(26=木下グループ)は、すでに2度目の五輪切符を獲得し、悲願の金メダル獲得に燃えている。舞台はパリから約1万5700キロ離れた南太平洋に浮かぶフランス領ポリネシアのタヒチ島チョープー。12歳で初めて訪れた“運命の海”で、2度目の大舞台に臨む。
パリ五輪のサーフィン会場が決まった19年12月。五十嵐はチョープーと結ばれた深い縁に思いをはせた。
「子供の時は、ここで五輪が開かれるという夢はなかった。なぜ毎年練習しにいったか、自分でもよく分からない。いつか五輪が開かれると、誰かから言われていたのかな」
世界の波乗りたちが憧れる聖地は、シーズンになれば常時2~3メートル、最大で7メートル級のチューブ(筒状に巻く波)が発生し、同時に命の危険も伴う。トップ選手も命懸けで挑む海を初めて訪れたのは「体重は40キロくらいしかなかった」という12歳の時だった。
「溺れちゃうくらいのパワーがあった。一生戻ってきたくない。それくらい怖かった」。11歳で全米学生連盟(NSSA)主催大会で30勝を挙げた神童をしても、恐怖心だけが脳裏に焼き付いた。帰宅すると母・美佐子さんには「もう二度と行きたくない」と宣言。ただ、その後の内なる決意が、サーファー人生の分岐点となる。
「部屋に隠れちゃダメだ。いつかプロになりたいなら、難しい、怖い波でも頑張らないといけないと思った。その当時に怖さに勝ったことが大切だった」
翌年以降も通い、次第に恐怖心を克服。レギュラースタンス(左足前)の五十嵐は波に背を向けて乗らざるを得ないため不利とされるが、22年8月のチャンピオンシップツアー(CT)第10戦で9・70点(10点満点)という究極のハイスコアをマーク。今や金メダル候補の一角に挙がる。
東京五輪翌年の22年はCTで過去最高の総合5位に食い込み、9月のワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当)を初制覇。キャリア最高成績を残した。一方で23年はCT14位と4季続いたトップ10から脱落。外見上は五輪へ不安の残るシーズンだったが、五十嵐本人の実感は異なる。
「一年という時間を使って、全部で15個くらい変えたことがある。一番は板。材料とデザイン(形状)を変え、重さも前より軽めにした。コーチ、食事、トレーニング、メンタルトレーニングも変えた。ビッグリスクだけど、五輪のためだけではなくて、あと5、6年のキャリアのためにアジャストした」
足場固めの23年から、結果を求める24年へ。金メダルの自信は「95%」と語る。残りの5%は?答えも明快だ。「準備はできているけど、100%の自信はサーフィンでは絶対にない。なぜなら自然が相手だから。ただ、準備はこれ以上はできないと思っている」
人事を尽くして天命を待つ。12歳から通い続けた運命の海で、ゴールデンウエーブをつかむ日を信じて。(阿部 令)
五十嵐の24年初戦はCT第1戦のパイプ・プロ(29日開幕、米ハワイ)。2月の第2戦(同)後にWG(2月22日開幕、プエルトリコ)に出場し、ここで正式にパリ五輪代表に内定する。その後はチョープーで開催されるCT第6戦(5月22日開幕)などを経て、五輪本番(競技日程は7月27~30日を予定)に臨む。
◇五十嵐 カノア(いがらし・かのあ)1997年(平9)10月1日生まれ、米カリフォルニア州出身の26歳。両親の影響で3歳から競技を開始。9歳で米国アマチュアチームの強化指定選手入り。13歳でプロ転向し、16年からプロ最高峰のCTに参戦。18年に日本へ登録変更し、19年5月にCTで初優勝。21年東京五輪銀メダル、22年WG優勝。昨年9月からハーバード大のビジネススクール(大学院)に通う。カノアはハワイの言葉で「自由」の意味。1メートル80、78キロ。
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