悲劇的結末だった都大路の仙台育英女子 涙のアンカー・橘山の今後に期待

[ 2024年1月5日 15:00 ]

<男子第74回・女子第35回全国高校駅伝>2位となりゴール後に泣き崩れる仙台育英・橘山莉乃 (撮影・中辻 颯太)
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 自分のような普段はプロ野球を取材する記者も、オフにはアマチュアスポーツに駆り出されることがある。勝手が分からず右往左往することもしばしばながら、高校生の誠実で初々しい受け答えに、こちら側も初心を思い出すことも多い。

 昨年末には都大路の全国高校駅伝を取材。担当した女子の仙台育英は、1分20秒差でたすきを受けたアンカーの橘山莉乃(3年)が、神村学園のスーパー留学生、カリバ・カロライン(3年)の異次元の走りに、ゴール寸前、1秒差でかわされる悲劇的な展開で2位となった。

 「自分のところまでみんなが一生懸命、タスキをつないでくれて、自分も絶対優勝できると確信した中でスタートしたのでやっぱり悔しい…。歓声で“来る”と分かったけど、後ろを見たら負けだと思って、振り向かなかった」

 最終5区は5キロ。1分20秒差は、釜石慶太監督が「想定以上に開いたので“いける”と確信があった」と話すセーフティーリードのはずだった。橘山自身も区間の日本人で2位の16分11秒をマーク。そこを14分50秒で走り抜けたカロラインが規格外過ぎた。

 悲劇的に見えたのは高校駅伝では珍しいトラック勝負となったからだ。釜石監督も「女子の過去35回で、優勝争いがトラック勝負になったのはなかったと思う」と話す。スタンドの大観衆の前で、残酷なまでの猛追を受けて最後の最後に抜き去られた橘山は、ゴール直後から涙が止まらなかった。

 「この3年間でも一番、悔しい思いをこの都大路でした。絶対にオリンピック選手になって、この悔しさを晴らしたいです」

 下級生のころは貧血などに悩まされ、練習についていくのもやっと。3年生で初めて都大路メンバーに選ばれた。ランナー人生はまだこれからだ。卒業後は実業団のユニバーサルエンターテインメントに進み、夢の五輪出場を目指す。五輪の舞台でもメダル候補になっても不思議ないカロライン(ケニア出身)へリベンジを挑む日も来るかもしれない。(記者コラム・山添 晴治)

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