【玉ノ井親方　視点】霧島撃破の北勝富士　光ったベテランらしい円熟の技

大相撲秋場所 （ 2023年9月12日    両国国技館 ）

＜大相撲秋場所3日目＞寄り切りで霧島を破った北勝富士（左）（撮影・西海健太郎）
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　年齢を重ねると、若い頃のような勢いは落ちるが、その分、経験に裏付けされたうまさが出るようになる。北勝富士の相撲も、ベテランらしい円熟の技が光った。霧島に左を差されたものの、右上手を引いて右肘で絞りながら大関の左を殺した。差した左を抜いて突き放しにきた相手に、一度は土俵際まで押し込まれた。だが、うまく右に回り込んで右上手をつかむと、すぐに頭をつけ、体を密着させながら寄り切った。内容のある良い勝ち方だった。

　元々、前に出る圧力が武器の力士。ただ、首や膝などのケガの影響もあり、一時は本来の当たりの強さが影を潜めていた。しかし、先場所優勝争いして復調を印象づけたように、体調も随分戻ってきている。立ち合いも頭から当たれているし、前傾姿勢の角度を崩さないのも良い。今場所も最後まで優勝争いを盛り上げてくれるはずだ。（元大関・栃東）