男子初AS五輪選手へ 佐藤陽太郎、世界水泳ぶっつけデビュー W杯は混合デュエットに専念

[ 2023年4月24日 04:22 ]

公開練習を行ったアーティスティックスイミング日本代表チーム(撮影・西川 祐介)
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 アーティスティックスイミング(AS)日本代表が23日、都内で練習を公開した。24年パリ五輪で初めて男子の出場が認められる競技で中島貴子監督(36)は7月の世界選手権(福岡)のチーム種目に佐藤陽太郎(18=ジョイフルアスレティックク)を“ぶっつけ本番”で起用する方針を明言。昨年12月に起こした脳振とうから復帰間もないため5月のW杯フランス大会は昨年の世界選手権で銀メダルを獲得した姉・友花(21)との混合デュエットに専念させる。

 24年パリ五輪を見据え、今季から国際大会で男子の出場が最大2人まで認められているチーム種目。中島監督は注目を集めている佐藤陽の起用について「W杯は混合デュエットに専念させます」とした上で「男子選手はパワーが全然違う。世界選手権では陽太郎選手を泳がせたい。日本にも男子選手がいることをアピールしたい」と語った。6月の国内大会にオープン参加する予定はあるが、世界選手権が公式戦デビューの舞台となる。

 15年から世界選手権で採用されている混合デュエットが本命種目だった佐藤陽は、昨年12月からチーム練習を開始。当初は3月のW杯カナダ大会でデビューする予定だったが、練習中に脳振とうを起こして欠場した。練習再開は3月下旬。現在はアクロバティックな動作が多く脳振とう再発の危険性のあるチームへの参加は見送り、W杯フランス大会で出場予定の姉・友花との混合デュエットの練習を積んでいる。

 この日の公開練習では姉と2人で息の合った泳ぎを披露。佐藤陽は「女子選手と比べると技術的にはまだまだ足りない。正直、不安はあるが、男子が入った良さ、ダイナミズムな魅力を出したい」と力を込めた。毎日のように姉に「不安」と漏らし「大丈夫。活躍できる」と励まされる日々。フリー、テクニカル、アクロバティックのどのルーティンに出るかは未定だが、リフトの多いアクロバティックで力強い土台として重宝されることは間違いない。男子史上初のAS五輪選手へ、自国開催の世界舞台が試金石となる。

 ◇佐藤 陽太郎(さとう・ようたろう)2004年(平16)8月10日生まれ、茨城県出身の18歳。常総学院高から今年4月に筑波大に進学。5歳の時に姉のコーチの勧めで競技を始め、中学1年時の17年に日本選手権に出場。19年の世界ユース選手権混合デュエットで銅メダルを獲得。22年世界選手権では姉・友花との混合デュエットで、テクニカル、フリー2つの銀メダル。身長1メートル78。ジョイフルアスレティッククラブ所属。

 ≪今季からW杯も男子の出場可能≫ASは84年ロサンゼルス五輪で旧名称「シンクロナイズドスイミング」として初採用。女子だけが出場してきたが、ジェンダー平等を訴える国際オリンピック委員会の方針もあり、国際水連は昨年12月にパリ五輪で男子出場が可能になると発表。8人によるチーム種目に最大2人を起用できることが決まった。世界選手権では15年大会から非五輪種目の男女1人ずつによる混合デュエットを実施。五輪で男子に門戸が開かれたことを受け、今季からW杯などの国際大会のチーム種目でも男子出場が認められ、3月のW杯ではスペインが男子2人を起用した。

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