ゴルフ界のシン・シンデレラ!神谷そら涙の初V ダイヤモンド世代3人目、史上4位8戦目

[ 2023年4月24日 04:30 ]

女子ゴルフツアー フジサンケイ・レディース最終日 ( 2023年4月23日    静岡県 川奈ホテルGC富士C=6457ヤード、パー71 )

チャンピオンブレザーを羽織り笑顔を見せる神谷そら(撮影・西尾 大助)
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 女子ゴルフ界に将来性豊かなニューヒロインが誕生した。1打差の首位で出たルーキーの神谷そら(20=フリー)が、73とスコアを崩しながらも勝負強さを発揮。通算4アンダーで史上4番目となるツアー8戦目での初優勝を飾り、03年度生まれでは3人目の勝者となった。1打差の2位に岩井ツインズの妹・千怜(20=Honda)、ミレニアム世代の安田祐香(22=NEC)らが続いた。2位で出た前年優勝の高橋彩華(24=東芝)は76と崩れ、通算イーブンパーの10位に終わった。

 最後の最後に強烈なプレッシャーに襲われた。18番で50センチのボギーパットを打つ前に神谷は緊張で手が震えるのを感じた。外せば4人のプレーオフ。だが「震えの止め方を知らないのでリズム良く打つことだけを心がけた」と覚悟を決めてカップに沈めた。「ホッとしました。こんなに早く勝てるとは思わなかった」。優勝インタビューでは目頭を押さえ、感慨に浸った。

 18日に20歳になった新人がプロ8戦目で大仕事をやってのけた。1打差の首位でスタート。1番でいきなり第1打を左に曲げるが、「緊張しなさすぎて体が動きすぎてしまった」と笑う度胸の良さを随所で発揮した。イーグル直後の5番では第1打を右の林に曲げた。ダブルボギーもよぎる大ピンチだったが、隣の4番に刻んで、逆走ルートでグリーンに乗せて“ナイスボギー”で切り抜けた。

 ハートの強さを証明したのは、1打差で迎えた17番パー3だ。実測171ヤードで優勝を争った安田が5U、飛距離自慢の岩井千ですら51を持ち、ともにパーオンできずにボギーを叩いた難所で手にしたのは71。見事3メートルにつけ「ちょっと強めだった」というパットが運よくカップを回って吸い込まれ首位を奪取した。初日、2日目といずれも第1打を手前に外すミスを犯しており、母・あゆさん(48)と「今日は絶対にリベンジしようね」と誓っていた通りの“有言実行弾”で川奈の女神を振り向かせた。

 1Wの平均飛距離は256ヤードでランク2位の飛ばし屋。2度目の挑戦だった昨年のプロテストでトップ合格した。その自負から、今季序盤は結果ばかりを追い求め、4試合で予選落ち。本来の攻めるゴルフを見失った。それが2週前に照井浩二キャディー(42)から「それだけ飛ばせるのは才能。思い切ってやれば」とアドバイスされ、気持ちを切り替えた。この日は14ホール中、フェアウエーを捉えたのはわずか5回だったが、自分のゴルフを貫いた。

 プロテスト同様、ツアー初優勝も、ダイヤモンド世代の川崎春花や尾関彩美悠に先を越された。それでも史上4番目の最短Vは、大器の底知れぬ可能性を感じさせる。「海外の試合に憧れているので、目指していきたい」。大物ルーキーにとって初優勝は単なる通過点でしかない。

 【神谷(かみや) そら】☆生まれ 2003年(平15)4月18日、岐阜県土岐市生まれの20歳。

 ☆ゴルフ歴 6歳で父・哲史さん(47)の勧めで始める。21年中部女子アマなどで優勝し麗沢瑞浪高を経て22年プロテストにトップ合格。

 ☆利き腕 左利きだがゴルフは右打ち。「ゴルフを始めた時に父から渡されたのが右利き用だった」のが理由。「利き腕で得をしたのはプロテストの時に木の根元から初めて左で打って成功したことです」と笑う。

 ☆名前の由来 母・あゆさんが「空のように大きく広い心を持ってほしい」と名付けた。

 ☆運動経験 3歳から11歳までスイミングスクールに通う。その利点について「肩関節が柔らかいくらいですかね」。

 ☆K―POPファン K―POPが大好き。「試合の朝は絶対にBTSを聴いています。今日もノリノリでした」

 ☆家族 両親と妹・ももさん(17)、ひなさん(16)の5人家族。21日はひなさんの誕生日だった。

 ☆サイズ 1メートル67、60キロ。

 ▽ダイヤモンド世代 03年度生まれの選手を指す。昨季国内メジャー1勝を含む2勝を挙げた川崎春花、1勝の尾関彩美悠がいる。神谷は世代3人目の優勝者。ほかにもメルセデスランク29位でシードを獲得した佐藤心結、下部ツアー初の年間5勝を挙げた桜井心那ら。名称は、昨秋の新人戦会場で同世代の複数選手が「私たちはダイヤモンド世代です!」と訴えたことから。

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