【玉ノ井親方　視点】貴景勝“前へ”の意識空回り…前日黒星で歯車狂った

大相撲初場所12日目   ●貴景勝（すくい投げ）霧馬山○、　●玉鷲（押し出し）阿武咲○ （ 2023年1月19日    両国国技館 ）

＜大相撲初場所12日目＞すくい投げで霧馬山（右）に敗れた貴景勝（撮影・西海健太郎）
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　貴景勝は前日の琴ノ若戦の黒星を引きずっていたようだ。琴ノ若との一番は相手の動きをよく見て取ろうとして、相撲が後手に回った。立ち合いから足が前に出ず、引いて敗れた。その反省を踏まえ、この日は左足から踏み込んで立った。だが逆に右の脇が空いて霧馬山に左を差され、すくい投げを打たれた。

　前に出ようとする意識が空回りして、上半身と下半身の動きがちぐはぐになった印象。2日目の翔猿戦に敗れて以降、相手を正面に置いてその動きを見ながら取るスタイルに転換。中盤戦まではそれでうまくいっていたが、琴ノ若に敗れて歯車が狂った。完全に流れが悪くなってしまった感じだ。

　一方、大関と同学年の阿武咲はどんどん流れが良くなっている。玉鷲の突きを下からあてがって制し、体を密着させながら前に出た。馬力のある玉鷲が我慢できずに引いてしまうほどの圧力だった。

　あすは阿武咲と貴景勝の直接対決。阿武咲が勝てば乗っていくだろうが、貴景勝もそう簡単に勝たせるわけにはいかない。大関がどう立て直してくるか注目だ。（元大関・栃東）