バスケ男子代表21歳の司令塔・河村 24年パリ切符獲る!初舞台で得点力発揮へ

[ 2023年1月2日 05:32 ]

鏡餅の横で笑顔を見せる河村勇輝(撮影・尾崎 有希)
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 バスケットボール男子W杯は8月25日~9月10日に日本(沖縄)、フィリピン(マニラ)、インドネシア(ジャカルタ)の3カ国共催で開催される。開催国枠で出場する日本代表の司令塔として活躍が期待される河村勇輝(21=横浜BC)がインタビューに応じた。出場すれば世代別を通じて自身初の世界大会。24年パリ五輪出場権を得るアジア最上位を目標に掲げ、幼少時代からの憧れである米国代表とのガチンコ勝負を熱望した。(取材・構成=木本 新也)

 バスケの祭典が17年ぶりに日本にやってくる。アジア最上位に24年パリ五輪の出場権が与えられるW杯。河村はU―17、19W杯はアジア選手権で順位条件を満たせずに出場を逃しており、沖縄のコートに立てば自身初の世界舞台となる。

 「普通のW杯ではない。自国開催はモチベーション。まずは日本代表に選ばれて出場することが目標になる。サッカーW杯を見て、バスケも日本であれぐらい人気が出てほしいと感じた。その意味でも重要な大会。チームの目標はアジア最上位。W杯で結果を残してパリ五輪に出たい」

 昨年3月に東海大を中退。今季からB1横浜BCとプロ契約を結んだ。日本代表デビューとなった7月3日の台湾戦は14分3秒出場で、ともにチーム最多の8アシスト、5スチールを記録。この活躍を機に富樫(千葉J)、テーブス(滋賀)、斎藤(名古屋D)ら、選手層の厚いポイントガード(PG)で代表に定着した。

 「夏に代表に選ばれたのは想定外の早さでしたが、いつチャンスが来てもつかめるように準備していた。大学を中退して“バスケでお金を稼がないといけない”“お金を払って見に来てくださる方にプレーで恩返ししないといけない”というマインドになった。いろんな経験をして日々成長できている」

(憧れ八村と初の共演/) 特別指定選手時代を含めてBリーグ4季目の今季はリーグトップの1試合平均9・4アシスト。1試合平均17・2得点は日本人トップで、41スチールもリーグ5位タイの数字だ。持ち味のアシスト、スチールに加え、得点力が大幅アップ。14日に開催されるオールスターに、史上最多票に加え史上最年少で選出され、21歳にしてリーグの顔となった。

 「日本代表のホーバス監督から“得点できる選手になりなさい”と言われ続け、意識が変わった。パス、アシストを生かすためにもスコア能力は必要。今はフローターや3点シュートなど、多くのバリエーションの練習をしている。身長の低いハンデを埋めるため、ルーズボールや平面の守備へのこだわりは強い。スチールはコンマ何秒の勝負。いつ、どこにいても狙っている。W杯では自分の小回りの利くプレー、スチールがどれだけ通用するのか試したい」

 22年の日本代表活動参加を見送ったウィザーズの八村と一緒にプレーした経験はない。NBA組の八村、渡辺(ネッツ)の代表合流はW杯の事前合宿からの見通しで、連係確認の時間は限られる。

 「塁さんは上の存在過ぎて、架空の選手のような感じ。ウィザーズの試合は映像で見るが、まだ一緒にコートに立つイメージはできない。ただ塁さんは場数が違うし、僕も外国籍を含めて多くの選手とプレーしてきた。短い時間でアジャストするのは難しいことではないと思う」

 日本が13年ぶりに出場して5戦全敗に終わった19年W杯はテレビ観戦。当時は高校生で、世界との差を痛感した。

 「19年大会は次のW杯に出られると思っていなかったので、一人のファンとして見ていた。世界のレベルは凄く高いと感じましたね。W杯で対戦したいのは、やはり米国。最も強い国と戦ってみたい。スロベニアのドンチッチ(マーベリックス)選手ら世界トップのPGとマッチアップしたい気持ちも強い。W杯や五輪を経験すれば、世界での自分の立ち位置を確認できる。それを経て、海外挑戦が見えてくるかもしれない。いろいろなことを吸収したい」

 開幕まで236日。新しい景色を満喫するため、最大限の準備をする。

 ◇河村 勇輝(かわむら・ゆうき)2001年(平13)5月2日生まれ、山口県出身の21歳。福岡第一高時代に全国選手権2連覇を含む4度日本一を達成。20年1月に特別指定選手としてBリーグ三遠に加わり、当時のB1最年少出場記録、最年少得点記録を更新した。同年4月に東海大に進学。20~21、21~22年は横浜BCの特別指定選手でプレーし、今季からプロ契約。尊敬する人物はイチローさん。趣味はサウナで長野県などに日帰りで遠出することもある。1メートル72、68キロ。

 ▽23年バスケットボール男子W杯 各地区の予選を勝ち抜いた32カ国(欧州12、米大陸7、アフリカ5、アジア・オセアニア8)が出場し、8月25日~9月10日に開催される。沖縄アリーナ、マニラの4会場、ジャカルタの1会場を使用。4カ国総当たりの1次リーグを行い、各組上位2位が2次リーグに進出し、4カ国で4組を構成。各組上位2位が決勝トーナメントに進む。9~16位、17~32位決定戦も実施される。1次リーグの組み合わせ抽選会は4月29日にマニラで開催。日本が競技をする沖縄では1次リーグG、H組とG、H組による2次リーグ、順位決定戦が行われる。

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2023年1月2日のニュース