つり輪で代表候補入り 武田一志のニックネームは?

[ 2017年6月29日 15:42 ]

25日の全日本種目別選手権のつり輪で連覇を達成した武田一志
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 体操界で「キング」と言えば内村航平(28=リンガーハット)、「ひねり王子」と言えば白井健三(20=日体大)がパっと思い浮かぶだろう。内村は世界の頂点に立ち続けることで、白井は自身の武器で周囲を圧倒することで、こう呼ばれるようになった。

 では、体操界で「ゴリ」あるいは「ゴリラ」と言えば?

 まだ世間にはあまり広まっていないが、体を美しく操る業界内では既に浸透しているという。「先輩からも後輩からも、そう呼ばれてて」。徳洲会の武田一志は、不敵に笑った。

 襲名に至った経緯はこうだ。パワーが付いてつり輪を得意種目とするようになった日体大2年の時、仲間が言った。「おまえ体ゴリゴリだな」、「そういえば顔も…」、「ゴリラだろ」。余分なひねりを加えず、ニックネームは一直線に決定。動物に例えられても嫌な気持ちはなく、むしろ「おいしい。イジられてなんぼ」とさえ思った。

 圧倒的な腕力が必要とされるつり輪。武田は趣味の欄に「筋トレ」と記す。もちろん嘘ではない。だが、「ひと笑い入れておこうかという思いも少しある」と意図を明かす。冗談好きの明るいキャラクター。もちろん、体操に取り組む姿勢は真摯だ。

 25日の全日本種目別選手権のつり輪。武田は力強い演技を披露し、着地もピタリと止めた。万感の思いを込めて両腕を突き上げると、支柱をなで「ありがとう」とつぶやいた。15・050点で連覇を達成。世界選手権(10月、カナダ・モントリオール)の代表候補に入った。

 14年アジア大会で団体金メダル、種目別つり輪で銀メダルを獲得したが、まだ世界大会で日の丸を背負ったことはない。世界選手権の代表決定は9月。他種目のスペシャリストとの激しい争いの先に、大舞台の切符は待つ。

 個人総合で20年東京五輪に出場することが最大目標。「個人総合を高めつつ、つり輪も高めつついきたい。オールラウンダーだと、つり輪が少し伸び悩む傾向にあると思う。そこを先陣切って突破できたらいい」。まずは今年、つり輪界のボスになれ――。

 ◆武田一志(たけだ・かずゆき)92年(平4)8月3日、群馬県伊勢崎市出身の24歳。5歳で体操を始める。埼玉栄、日体大を経て徳洲会。160センチ、58キロ。

 【世界選手権の男子代表選考】内村と白井は既に個人総合で代表入りが決定。残りは最大4人。全日本種目別を終え発表された代表候補は床運動=谷川航、あん馬=杉野正尭、亀山耕平、つり輪=武田、跳馬=佐藤巧、安里圭亮、平行棒=田中佑典、鉄棒=宮地秀亨の8人。今後の試技会の得点も参考にし、日本協会が独自に設定する各種目の世界ランク上位選手が9月に代表に決まる。

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