畠山&谷崎氏 ラグビーを日本に根付く文化へ!W杯開催まで1000日

[ 2016年12月24日 09:37 ]

日本で開催される次回W杯に向けて語り合った畠山健介(右)とラグビーW杯2019組織委員会・谷崎潤平氏
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 2019年のラグビーワールドカップ日本大会(9月20日〜11月2日)は、24日で開幕まで1000日の節目を迎えた。昨年のW杯イングランド大会で日本代表の歴史的3勝が呼び起こしたあの熱狂を、1000日後に日本国内で再現できるのか。現日本代表プロップの畠山健介(31=サントリー)と、自身もトップリーガーで組織委員会・渉外部兼ラグビーサービス部の谷崎潤平氏(29)が対談を通じ、W杯への思いを語り合った。

 谷崎氏はW杯で試合の運営などに関わるセクションに就いている。高校時代にはニュージーランドに留学し、本場でラグビーをした。その時の経験が19年に向けての準備に役立っている。

 谷崎(以下、谷) 高校時代に留学しました。あちらでは保護者の方が平日でも仕事を終えた後に教えてくれる。土日はテレビでオールブラックスの応援。ラグビーが日常生活にありました。

 留学中には03年のW杯オーストラリア大会が開催されていた。

 谷 友達の家に集まり国歌斉唱して応援した。準決勝でオーストラリアに負けた時は、お葬式みたいな雰囲気でしたね。

 畠山(以下、畠) ニュージーランド代表にはサモア出身者とかアイランダー系の選手が入っているけど、そこに国民の抵抗感はあるんですか?

 谷 出身地を指摘されることはあまりないですね。選手の持っている力を認める文化がある。

 畠 素晴らしい。日本だと「外国人がいるのに日本代表なのか」と言われる。将来は日本も多くの外国人が移住してくる。代表はモデルケースだとエディーさん(ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ)も言ってました。

 畠山は選手としてW杯に2度出場。大会の雰囲気はやはり格別という。

 畠 お祭りですよね。先日たまたま横浜の中華街に行ったんですが、ちょうどサッカーのクラブW杯決勝の日で、試合開始まで時間があるのに大会のマフラーを巻いている人や、レアル・マドリードのユニホームを着ている人がいた。試合がメインだけど、その前に前菜を楽しむ、みたいな感覚。試合も盛り上がったので、お客さんは満足したと思う。W杯もそういうことが大事だと思う。

 谷 会場や動線でファンを楽しませる仕掛けを、今まさに検討しています。自治体やラグビーファミリーと一緒に考え、良いものにしたい。

 畠 開幕戦は味の素スタジアム。住宅街だとできることは限られるでしょうが、トゥイッケナム(※1)も住宅街にあります。住民はそれがステータスと思っている。イングランドにはそう言えるスポーツの文化がある。スタジアム近くの住民の方が“あの試合、この近くでやったんだよ”と言ってもらえるような大会になれば最高です。

 スタジアムの雰囲気も大会成功には重要なポイントになる。11月のウェールズ戦で、畠山は国歌斉唱の時に思わず涙を流した。

 畠 前日練習での空のスタジアムも、圧倒されるほど素晴らしかった。“明日はスタンドがいっぱいになるよ”と聞き、チケット代も少し安めではあったんですが、7万4000人近く入った。それを見た瞬間、もう僕のラグビー人生では二度と見られないのかなと思って。日本のどのスタジアムが満員になっても、その人数にはならない(※2)。そう思った瞬間、バーッと涙が出ました。

 谷 収容能力はともかく、選手にとって最高の舞台を提供するのが役目だと思っています。

 畠 もちろん観客数だけが重要ではないと思います。昨年のW杯の南アフリカ戦は3万くらいのスタジアムでしたが、見たことのないような盛り上がりだった。会場には日本人も南アの人もたくさんいましたけど、大半は現地の人。現地の人をどれだけ盛り上げられるかが課題だと思います。

 ※1 英ロンドン郊外にあるラグビー専用スタジアムで、「ラグビーの聖地」と呼ばれるイングランド代表のホームスタジアム。開場は1907年で、収容能力は8万2000人。昨年のW杯ではメイン会場として開幕戦や決勝が行われた。元々キャベツ畑が広がっていた地域に建設されており、現在は周辺を住宅街に囲まれている。

 ※2 試合が行われたのは英カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで、収容能力は7万4500人。主催者発表によると7万3969人の観衆があった。国内最大の収容能力を持つ日産スタジアムでも7万2327人で、この数字に及ばない。

 ◆畠山 健介(はたけやま・けんすけ)1985年(昭60)8月2日、宮城県気仙沼市生まれの31歳。8歳でラグビーを始める。仙台育英高、早大では各世代代表を経験。08年4月にサントリー入りし、同年11月の米国戦で日本代表初キャップを獲得。11、15年W杯に連続出場した。通算78キャップは日本歴代4位。ポジションは右プロップ。1メートル78、113キロ。

 ◆谷崎 潤平(たにざき・じゅんぺい)1987年(昭62)3月9日、福岡県志免町生まれの29歳。10歳でラグビーを始め、高校時代にニュージーランド留学。立命大を経て10年からキヤノン(入社当時トップイースト)で3季プレーした。13年から社業に専念し今年2月から組織委に出向中。現役時代のポジションはウイング。父は法大ラグビー部監督の重幸氏。

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