逸 また立ち合い変化…大関・琴奨菊撃破も館内タメ息

[ 2015年1月15日 05:30 ]

変化しての勝利に観客も拍手なし!?

大相撲初場所4日目

(1月14日 東京・両国国技館)
 “モンゴルの怪物”関脇・逸ノ城は右変化からのはたき込みで大関・琴奨菊を破り、2勝2敗の五分に戻した。しかし安易に変化する取り口に対して、協会幹部からは辛口の批評が飛び出した。4日目を終え、全勝は横綱の白鵬、日馬富士、平幕の隠岐の海の3人だけになった。
【4日目取組結果】

 4日連続の満員御礼でにぎわう館内の熱気が一気に冷めた。怪物が右変化からのはたき込み。目標を見失った琴奨菊は勢い余って土俵に両手を突いた。あっけない決着にタメ息ばかりが聞こえた後は妙な静けさが漂っていた。

 バツの悪い状況で勝ち名乗りを受けた逸ノ城は支度部屋でも、うつむき加減。反省の言葉を並べた。「持っていかれそうな気がした。大関は当たりも強いし。(仕切りの)最後に(変化すると)決めた。変化は良くないと分かっているけど」。国技館を引き揚げるまで笑顔はなかった。

 北の湖理事長(元横綱)は21歳の心理に一定の理解を示した。「立ち合いが合わなかったんじゃないか。だから引いてしまった」。琴奨菊がなかなか仕切り線に手を突かないため、立ち合いの呼吸が合わず、焦らされたと分析。その上で「変化が癖になれば苦しむ。体をぶつけて自分の形をつくらないと、だんだん止まらなくなる」。常習性があると指摘し、大器の将来を憂えた。

 土俵下で見届けた朝日山審判長(元大関・大受)は「やる方も悪いが食う方も悪い。お客さんはいい相撲を見たかったはず」と両者にダメ出し。その上で忠告を加えた。「(大関昇進を)推薦する際のマイナス材料になる。(白星の)数だけじゃない」。変化の常習者でファンの期待を裏切り続ければ、大関昇進の目安とされる3場所33勝をクリアしても、推薦が見送られる可能性があると説明。「力を付けて勝ってもらいたい。大関、横綱を狙える器なんだから」と戒めた。

 2勝2敗の五分に戻して、5日目は“元祖”平成生まれの有望株・高安と対戦。出世争い同様の熱戦が期待される。

 ▼琴奨菊 残せない私が悪い。もうちょっとなんだけど、何かね…。(逸ノ城は)普通にやっても強い。まだまだ先はある。大丈夫だ。

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