松岡修造氏 愛弟子・錦織称える「心の成長が一番うれしい」

[ 2014年10月6日 08:30 ]

優勝した錦織はテープが舞う中、トロフィーを掲げる

男子テニス楽天ジャパン・オープン最終日 決勝

(10月5日 東京・有明テニスの森公園)
 主宰するトップジュニアキャンプ「修造チャレンジ」で当時11歳だった錦織の才能を見いだしたスポーツキャスターの松岡修造氏(46)は、臀部(でんぶ)の故障を乗り越えて2週連続優勝した愛弟子を称えた。課題であったタフさを身に付けた錦織は、ナダル(スペイン)やフェデラー(スイス)らの世界のトップ集団に入ったと言い切った。

 サーブのラオニッチとリターンとストロークの錦織。対照的な強みを持つ両者が本気で戦うと必ず競り合いになる。ただ、今回はラオニッチが優位だと思っていた。それは臀部に痛みのある錦織の体力面が100%ではなかったからです。

 ミスが出る苦しい場面があっても、錦織が勝てたのは体力と相談しながら頭脳的にプレーできたからです。サービスゲームは時に力を抜きながら戦い、リターンゲームもブレークが難しいと判断すれば無理に粘らなかった。省エネでプレーしつつ、大事な場面ではギアを上げる。象徴的だったのは第1セットのタイブレークです。ここでは、それまで触れることも難しかったラオニッチの強烈な第1サーブに食らいついて返し、得点に結びつけた。最高のプレーを重要な場面に取っていた。

 圭の涙は、自分の限界を超えて、自分に打ち勝ったからこそあふれ出たものだと思う。僕も感極まって涙が止まらなかった。今まで体力的にきつくなると、どこか諦めるようなところがあった。ナダルやフェデラーら、本当の世界のトップ選手はきつくても、どこか痛くても、何があっても戦い抜く。既にプレーの面では彼ら以上のものを持っている圭が劣っているのは精神的な面も含めてのタフさ。準優勝だった全米オープンの後、今後必要なことはそのタフさだと思っていた。それは練習では身に付かない。試合でしか手に入らない。それをこの数週間で手に入れた。この勝利で、圭は間違いなく世界のトップグループに入った。

 もう世界中のテニス関係者は「錦織の時代が来た」と思っているはずだ。ワクワクするが、これからが大変だ。練習のレベルをさらに上げて、戦い方を安定させないといけない。ただ圭は分かっている。本当なら休みたいところ、すぐに上海の大会に向かうという。そんな心の成長が一番うれしい。 

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