氷上のプリンス 羽生、挑発にも動じない「心のコントロール」

[ 2014年2月18日 09:40 ]

羽生結弦 緊急連載(下)

 小学校の卒業文集に「五輪で金メダルを獲る」と書いた羽生だが、今大会に照準を合わせていたわけではなかった。目標に据えていたのは23歳で迎える18年五輪。だが、ソチで行われた12年のGPファイナル2位、全日本選手権優勝で一気にソチ五輪が視界に入ってきた。「最初は18年の平昌を目指していたのに、急にソチが見えてきた」。ソチで黄金の輝きを手に入れるためには、最強のライバルを倒す必要があった。

 パトリック・チャン(カナダ)は圧倒的なスケーティングスキルと表現力を武器に、世界選手権で3連覇を達成。今季のGPシリーズ2戦は、ともにチャンと同じ試合だった。10月のスケートカナダでは、練習からチャンを意識するあまり、ミスを重ねて自滅。27・23点差をつけられた。王者の滑りを映像で見た羽生は、「うまいなあ」と思わず本音を漏らした。11月のフランス杯では、差はさらに広がって31・68点に。だが、表情は格段に明るかった。「一歩一歩、前に進んでいる」と笑う余裕があった。

 フランス杯で得た教訓は「チャンを意識しない」、「自分自身にフォーカスする」ことだった。チャンと3度目の激突となったGPファイナル。羽生は自分のペースを貫いた。練習で流れるようなスケーティングが目に入っても、気にしない。フリーは自身の演技前にチャンが好演技をしたことを知ったが、動じなかった。「こういう雰囲気の後にいい演技をしないと」。合計293・25点での優勝は、金メダルへの序章だった。

 ソチ五輪男子SP後の会見。トップに立った羽生は「パトリック選手(チャン)と何回も戦ってきたから、いいマインドコントロールができるようになった」と自信を見せていた。一方のチャンは「ユヅルはこういう(首位の)経験に慣れていないはずだ。どう対応するのだろう」と挑発。フリーは羽生もジャンプで2度のミスをしたが、チャンはそれ以上に失敗を重ねた。戦前、チャンがやや有利と見られた夢舞台。黄金の輝きを手に入れたのは、心をコントロールできた19歳だった。(特別取材班)

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