日馬 両国では負けない!1年前から32連勝中

[ 2013年5月13日 06:00 ]

隠岐の海(右)を寄り切りで下す日馬富士

大相撲夏場所初日

(5月12日 両国国技館)
 6度目の賜杯を狙う横綱・日馬富士(29=伊勢ケ浜部屋)は変化気味の立ち合いから、新小結・隠岐の海(27=八角部屋)を寄り切りで下し白星発進。東京場所での連勝を32に伸ばした。横綱・白鵬(28=宮城野部屋)も小結・栃煌山(26=春日野部屋)を寄り切りで下すなど、横綱、大関陣は3場所連続で初日安泰。上位に休場もなく安泰スタートが3場所続いたのは、76年(名古屋~九州場所)以来となった。

 一歩間違えば墓穴を掘る立ち合いでの変化。ましてや、場所初日に失敗すれば引きずる危険性も帯びていたが、それでも日馬富士は勝負をかけた。「突き放すというより、まわしを取れれば」。立ち合いやや左に動きながら懸命に隠岐の海のまわしに左手を伸ばした。左手に確かな感触が伝わると、相手の右差しを殺して一気に寄り切り。横綱土俵入りの帰り際に露払いの宝富士を一瞬追い抜いてしまうミスもあったが、抜群の集中力で前回の対戦(昨年九州)で敗れた相手に雪辱した。

 「母の日」の勝利にもこだわった。モンゴルでは6月1日だが、日馬富士にとって日本の母は入門以来育ててくれた伊勢ケ浜部屋おかみの杉野森淳子さんだ。場所前には「横綱 日馬富士」と文字が入った白い浴衣をプレゼントされ、この日の取組後に早速着用。「(恩返しには)白星をプレゼントするしかない」と心に誓っていた。

 故郷の母、ミャグマルスレンさんも常に心の中にいる。06年12月に交通事故で父・ダワニャムさんを50歳で亡くして帰国した際には「1人にしてごめんね」と号泣しながら再来日。以来、稽古後に母を思って故郷の歌を口ずさむようになり、昨年大みそかの紅白歌合戦に審査員として参加した際には美輪明宏が♪母ちゃん見てくれ この姿、と歌う「ヨイトマケの唄」に衝撃を受けた。日本と故郷にいる母のために出世する。それが横綱の生きる糧でもある。

 9勝だった先場所に続き今場所も1桁勝利に終われば、進退問題に発展する。だが、駐車場に向かう帰り際には、自己最重量の134キロまで体重が増えたことについて「ハッハッ」と高らかに笑ってみせた。東京では1年前の夏場所千秋楽から32連勝中。6度目の賜杯を狙う“負けない両国”では言葉にも表情にもゆとりがある。

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2013年5月13日のニュース