17歳笹田 史上2組目の母娘V「いいプレゼントに」

[ 2013年5月13日 06:00 ]

表彰される女子1位の笹田(中)、2位の美濃部ゆう(左)、3位の村上

体操全日本選手権最終日

(5月12日 国立代々木競技場)
 世界選手権(9月30日開幕、ベルギー)の代表選考会を兼ねて男女個人総合決勝が行われ、女子は笹田夏実(17=帝京高3年)が合計55・500点で初優勝した。母の弥生コーチ(50、旧姓加納)は幻の80年モスクワ五輪代表で78、80、81年と全日本を3度制覇。史上2組目の母娘優勝で、世界選手権代表入りに前進した。男子は代表に決定している内村航平(24=コナミ)が11日の予選と合わせ合計182・350点で史上最多の6連覇を達成した。

 最終種目の床運動を終えると、充実感に浸りながら母と娘が抱き合った。モスクワ五輪代表の弥生コーチを母に持つ笹田が、3種目を終えてトップだった寺本を逆転して初優勝。母の日に日本一のタイトルをつかみ、「何も買っていなかったので、いいプレゼントになって凄くうれしいです」と笑みを浮かべた。

 苦難を乗り越えた。11年に右手首を疲労骨折したが、そのまま競技を続けた。ロンドン五輪は代表に入れず補欠。7月26日に手術を受けたが、患部は悪化していた。骨盤から細胞組織を移植し、特殊なボルトを使って骨を固定。本格的に練習を再開したのは今年に入ってからで、簡単な技すらできずに「本当に練習が嫌だった」と振り返る。

 転機は4月だった。弥生コーチが国学院大の准教授となり、直接指導の回数は激減。代わりに代表合宿などでさまざまなコーチの指導を受ける機会が増えた。失敗すれば泣いていた少女は歯を食いしばり、4種目の通し練習をこなすようになった。「他人から教わると、ふてくされるわけにはいきませんから」と弥生コーチは説明した。

 今季の目標は東アジア大会に設定していたが、全日本を制したことで世界選手権代表争いでもリード。「(6月の)NHK杯までに難度を上げれば、個人総合で(代表が)見えてくるかな」。今季は田中理恵が休養。17歳の新ヒロインが日本をけん引する。

 ▽世界選手権代表選考 今年の世界選手権は個人総合、種目別のみの開催。代表枠は男子6、女子4。男子で内村が実績を評価されて既に代表に決まっている。全日本選手権と6月のNHK杯の総合成績で争う個人総合の代表枠は男女ともに1。残りは6月の全日本種目別選手権で決定し、男子は決勝で種目ごとに設定した派遣標準得点を出すことが条件になっている。

 ◆笹田 夏実(ささだ・なつみ)1995年(平7)8月31日、東京都出身の17歳。小学1年から体操を始める。中学1年の08年に全日本ジュニアの個人総合で優勝。10年ユース五輪は個人総合で4位。英国のグループ「ワン・ダイレクション」など洋楽が好きで、得意科目は英語。1メートル50、43キロ。

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