海老原 日本新で女子やり投げ16年ぶり代表

[ 2012年6月11日 06:00 ]

62メートル36の日本新記録で優勝を飾った海老原

陸上・日本選手権最終日

(6月10日 大阪・長居陸上競技場)
 ビッグスローは男子だけじゃない。ロンドン五輪選考会を兼ねて行われ、女子やり投げで海老原有希(26=スズキ浜松AC)が五輪参加標準記録A(61メートル00)を突破する62メートル36の日本新記録をマークし2年ぶりに優勝。初の五輪代表に決まった。女子5000メートルは新谷仁美(24=ユニバーサルエンターテインメント)が15分17秒92で優勝し代表に決定。リレーメンバーを除く残りの代表選手は11日、日本陸連理事会を経て発表される。

 新記録達成を確認すると、たくましい両腕で力強いガッツポーズをつくった。海老原の3投目は自身の持つ日本記録61メートル56を大きく超える地点に突き刺さった。女子やり投げの五輪代表は96年アトランタ五輪の宮島秋子以来。ビッグスローで決めた26歳は「この場で日本記録を出せて本当にうれしい。何が何でも勝つっていうのが目標だった」と目に涙を浮かべた。

 前日9日の男子やり投げでは所属先の先輩・村上幸史(32)と新鋭・ディーン元気(20=早大)が激闘を繰り広げた。ディーンが大会記録を更新して優勝。練習をともにし師匠と仰ぐ村上は敗れたものの、五輪参加標準記録Aを突破しており、五輪出場は確実。テレビで観戦した海老原はハイレベルな一戦に刺激を受けていた。

 「村上さんは負けたけど、自己ベストを出したのは凄い」。この日はサブトラックから競技場に向かう際に、珍しく村上が握手をして送り出してくれた。先輩の悔しさも乗せて日本記録を更新し、今大会の女子最優秀選手にも選ばれた。男子最優秀選手のディーンも、「海老原さんは凄い。男子と女子で違うけど、お互い高め合っていけたらいい」と絶賛した。

 今を時めくAKB48の大島優子と同じ、栃木県出身。昨年の総選挙2位からトップに返り咲いた大島と同じく、昨年の日本選手権2位だった海老原もタイトルを奪回した。「何かを感じますね!。私はAKBには入りませんけど、大島さんには“会いたい”って言っておいてください」と豪快に笑った。昨年の世界選手権(韓国・大邱(テグ))では、予選を通過して9位と大健闘。「ロンドンでは、もう1回決勝の舞台に立って、もう一段上を目指して頑張りたい」。真夏のビッグスローで、上位進出を狙う。

 ◆海老原 有希(えびはら・ゆき)1985年(昭60)10月28日、栃木県河内郡上三川町出身の26歳。真岡女高3年時に七種競技で全国高校総体優勝。国士舘大に進み、06年に56メートル57の日本学生新記録をマーク。10年広州アジア大会では61メートル56の日本新記録で金メダルを獲得。人気モデル・蛯原友里のブレーク前から、愛称は「エビちゃん」。1メートル64、62キロ。

 ▽陸上のロンドン五輪への道 国際陸連が定める五輪参加標準記録Aを突破している選手が、日本選手権で優勝すれば決定。それ以外は11日の日本陸連理事会で選考され、同日発表される。A標準突破選手は最大3人が五輪に出場可能。B標準突破選手は1人しか出場できない。

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