暴行の春日野親方、処分なしに“待った”相次ぐ

[ 2011年10月20日 06:00 ]

暴行騒動を謝罪する春日野親方

 日本相撲協会は19日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、弟子3人をゴルフクラブなどで暴行した春日野親方(元関脇・栃乃和歌)を厳重注意とした。暴行を受けた幕内・栃ノ心(24)、幕下の栃飛龍(24)、栃矢鋪(22)の3人は警察に被害届を出す予定はなく、特に事件性もないため、相撲協会は“処分なし”にとどめた。しかし、公益財団法人認定に向けて組織改革に乗り出している段階での不祥事発生だけに、外部からは厳しい声と“待った”が相次いでいる。

 師匠によるゴルフクラブでの暴行騒動を受け、相撲協会は国技館改修について話し合う予定だった理事会に急きょ春日野親方と栃ノ心ら弟子3人を呼び出し、事実関係を確認した。しつけの目的で殴打したと主張する師匠と自らの非を認めた弟子3人の言動が一致。春日野親方に処分はなく、厳重注意にとどまった。

 理事会後に会見を行った春日野親方は「やり過ぎたのは自分でも分かっていた。理事会には寛大な処置をいただいたと思う。弟子には“ゲンコツは入れない”と言いました」と猛省。放駒理事長は「ゴルフクラブで殴るのはいき過ぎ。二度とこういうことがないように厳重注意とした」と説明した。

 だが、相撲協会の生活指導部特別委員会の木暮浩明外部委員は「ゴルフクラブを使ったのは良くない。せめて“けん責処分”にするべき」と話し、早急に同委員会を開いて再発防止を検討する必要があると主張。かつて同委員会で委員を務めた漫画家のやくみつる氏も「師匠への処分で解決する問題ではない。部屋全体の力士が連帯責任を負うような制度をつくらないと不祥事は止まらない」と異を唱えた。相撲協会を所管する文科省は同日、相撲協会に事実関係を確認したが、同省幹部は「こういう事態を事前に抑えることこそガバナンスのはずだ」と組織構造そのものに問題があると強調。各方面から“待った”がかかった。

 放駒理事長は会見の最後に「この問題はこれで終わり!」と収束を宣言した。だが、相撲協会は現在、公益財団法人認定に向け、組織改革について議論している真っ最中。07年に起きた力士暴行死事件後も再発防止策が機能していないだけに、公益財団法人認定に影響を及ぼすのは必至の不祥事となった。

続きを表示

2011年10月20日のニュース