スポーツ基本法が成立 施策推進は「国の責務」

[ 2011年6月17日 12:07 ]

 超党派による議員立法で提出された国のスポーツ施策の根幹となるスポーツ基本法案が17日、参院本会議で可決、成立した。公布後6カ月以内に施行される。1964年の東京五輪を控えて施設整備や学校体育に主眼を置いて61年に制定されたスポーツ振興法を半世紀ぶりに全面改正し、施策の推進を「国の責務」と位置付けた。

 今後は基本法を土台にして、具体的な実行に移るためのスポーツ基本計画の策定に入る。昨夏に文部科学省がつくったスポーツ立国戦略で掲げた、スポーツを生かした地域再生や医療費削減の実現で「新たなスポーツ文化の確立」を目指す。

 5章35条からなり、前文で全ての人にスポーツを楽しむ権利を認めた。時代の変化に対応してプロや障害者の選手も対象とした。トップ選手の国際競技力向上と全国の地域スポーツクラブの支援を2本柱に掲げ、国が財政面や税制優遇の措置を講じる必要性を盛り込んだ。五輪など国際大会の招致では「必要な資金確保」を明記し、政府の財務保証を得やすい裏付けができた形だ。

 スポーツに関するもめ事の迅速な解決を求めた条文では、スポーツ界で見過ごされがちなしごきやセクハラの問題にも権利保護が図られるよう対応した。大相撲の八百長問題などを踏まえて競技団体に組織運営の透明性を求め、スポーツ界の自立を促す条文も加えた。

 五輪は文科省、パラリンピックは厚生労働省など複数省庁にまたがるスポーツ行政を一元化する「スポーツ庁」新設については条文で触れず、行政機関のスリム化の流れに配慮して「検討、必要な措置を講ずる」と付則に記した。

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2011年6月17日のニュース