ノーモア朝青龍!大関・把瑠都に使者“物言い”

[ 2010年4月1日 06:00 ]

把瑠都(左から2人目)は尾上親方(左から3人目)、おかみのいづみさん(左)に挟まれ、大関昇進を伝える使者・出羽海理事(右)らに、頭を下げ口上を述べる

 日本相撲協会は31日、大阪市内で夏場所(5月9日初日、両国国技館)の番付編成会議と理事会を開き、関脇・把瑠都(25=尾上部屋)の大関昇進を満場一致で決めた。会見では優勝と横綱昇進を目指していく決意を示した把瑠都だが、その一方で、使者の出羽海理事(元関脇・鷲羽山)から私生活面での“精進”を求められるなど、異例の伝達式となった。

 緊張の伝達式。やっとの思いで口上を述べた把瑠都は右の拳を胸に当てて大きく息をついた。しかし、次の瞬間、胸の鼓動が高鳴った。使者として派遣された出羽海理事が師弟の元に歩み寄ると、尾上親方(元小結・浜ノ嶋)にこう忠告した。「相撲も大事だけど、私生活もな。これからは、横綱みたいに注目されるのだから」。把瑠都は私服姿で夜の繁華街を闊歩(かっぽ)したことなどで過去に2度の注意を受けているが、昇進を祝うおめでたい場で使者が“物言い”をつけるのは異例のこと。出羽海理事は帰り際にも「上を目指して努力してほしいが、私生活でも気を引き締めてもらわないといけない」と“ノーモア朝青龍”を訴えた。
 エストニアの怪人も初体験の昇進儀式に戸惑い、千秋楽翌日から1日3時間しか眠ることができなかった。注目の口上は一門の大横綱でもある北の湖理事に相談し、シンプルなものに決定。しかし、緊張で言葉が出なかった。午前9時54分、出羽海理事と春日野審判員(元関脇・栃乃和歌)を迎えた把瑠都は、約10秒間沈黙。周囲に促されて口を開き、「謹んでお受けします。稽古に精進し、栄誉ある地位をけがしんで……。汚さぬように努力いたします。ホンジツ・ホッ・ホントニ・アリガトウ・ゴザイマシタ」と続けた。
 一仕事を終えた新大関は会見で「春場所より緊張した。大丈夫かなと思ったが、最後の最後で凄く緊張した」と苦笑い。師匠が年内の綱獲りを厳命する中、「優勝しないと横綱になれない。次は優勝しかない」と力強く宣言した。綱獲りとなれば、横綱推挙状の中に記されている「品格力量抜群につき」の資質が求められる。外国出身力士への監視の目が厳しくなっているだけに、把瑠都に浮かれている暇はない。

 ▼武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海) 今場所の力強い相撲を磨いて、大関で満足せずに横綱を目指してほしい。礼儀も含め、ほかの力士の手本となるようなつもりで、びしっとしてほしい。
 ▼友綱審判部長(元関脇・魁輝) 横綱を目指すというつもりでやってほしい。新しい大関ができたことで、今いる大関が奮起してくれればいい。
 ▼九重審判部長(元横綱・千代の富士) 相撲界全体を引っ張ってもらいたい。今場所で終わりじゃなくて、もう1つ上を狙えるような存在になってほしい。
 ▼出羽海親方(元関脇・鷲羽山) 期待されているだけに大関で終わることなく、もう1つ上を目指してほしい。一門としても柱になるので、非常にありがたい。

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2010年4月1日のニュース