江戸時代の先代も感激…四ツ車が十両昇進

[ 2008年10月2日 06:00 ]

江戸時代の幕内、四ツ車の錦絵を手に笑顔を見せる新十両の四ツ車

 日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で大相撲九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)の番付編成会議を開き、十両昇進力士6人を発表した。新十両は四ツ車(28)=本名・山影誠、伊勢ノ海部屋=、森改め大翔湖(24)=本名・森友樹、追手風部屋=、翔天狼(26)=本名・ダグダンドルジ・ニャマスレン、武蔵川部屋=の3人。若荒雄(24)玉飛鳥(25)境沢(25)が再十両を決めた。

 苦節12年半で迎えた春に胸の高鳴りは収まらなかった。十両昇進が決まった四ツ車は「本当に長かった。あきらめそうにもなったけど、攻める気持ちを忘れないでやった」と興奮気味に話した。
 しこ名は江戸時代に活躍した伊勢ノ海部屋の幕内力士「四ツ車大八」に由来する。“先代”は前頭3枚目が最高位だが、文化2年(1805)に起きた町火消しと力士による大喧嘩(げんか)「め組の喧嘩」の登場人物として有名で、その模様は歌舞伎の題材にもなっている。師匠の伊勢ノ海親方(元関脇・藤ノ川)は「九州場所で勝ち越したら(四ツ車を演じた)市川団十郎さんに会わせると約束している」とぶちまけた。
 生まれた時に両親は離婚。岩手・花巻市で女手一つで育ててくれた母・良子さんも8年前に亡くなった。会見を終えた四ツ車はそのまま帰省し、母の墓前に報告。「母も喜んでくれていると思います。団十郎さんと会えるように頑張ります」。幕下に上がって8年。苦労人が由緒あるしこ名をより輝かせる。

 ≪モンゴル16人目の関取誕生≫モンゴル16人目の関取となった翔天狼は「昨日は寝られませんでした。ここまでやってきて良かった」と喜んだ。左ひざを3度も手術するなどケガに悩まされたが、家族の写真を支えに夢を成就。同期の白鵬には水をあけられたが「ぜひ挑戦したい」。5年ぶりの新関取誕生に、師匠の武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は「もっともっと厳しくいく」と武蔵川節を全開させていた。

 ≪会見30分前に決めた「しこ名」≫森改め大翔湖は「びっくりだし、うれしい」と照れ笑いした。秋場所は西幕下4枚目で4勝。東幕下4枚目で5勝を挙げても昇進できなかった夏場所の“苦い過去”があるだけに、昇進はあきらめていたという。新しいしこ名も、会見の約30分前に決めた。昨年春場所、幕下15枚目格付け出しでデビューした期待株も十両昇進に10場所を要した。「いろいろ勉強になった。来場所は勝ち越しを目指す」と決意を新たにしていた。

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2008年10月2日のニュース