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万博展示「乗り物」ゼロも 軟弱地盤、コスト増で敬遠 パビリオンの魅力低下の恐れ

[ 2024年4月23日 05:30 ]

大阪・関西万博の会場となる大阪市の人工島・夢洲
Photo By 共同

 2025年大阪・関西万博を巡り、乗り物で展示を楽しむ本格的な「ライド型」のパビリオンがゼロになる可能性があることが22日、分かった。過去の万博では多様なライドが人気を博したが、会場となる大阪湾の人工島・夢洲の地盤が軟弱なため、一定の重量がある乗り物や関連設備による建設コストの増加が敬遠されている。

 ライドは幅広い世代が楽しめるだけに、パビリオン全体の魅力低下につながる恐れもある。出展団体や万博協会関係者が明らかにした。
 夢洲は土砂や廃棄物で埋め立てられた。パビリオン建設による地盤沈下を防ぐため、協会は「極力抑制するための対策や基礎形式を選定」するよう求めている。

 在阪ゼネコン関係者によると、土砂を取り除いた場所にくいを打たず建てる「浮き基礎」と呼ばれる工法が大半だが、建物重量には事実上の制約がある。地下深くまでくいを打ち込む工法も可能だが、終了後に撤去が義務付けられコスト増が避けられない。ライド型展示はレール設置や安全対策が必要で、一連の設備が重くなりがちだ。

 大阪府と大阪市の地元パビリオン「大阪館」は当初、来場者の健康状態を自動診断する「アンチエイジング・ライド」を計画したが、物価高騰を踏まえて大型エレベーターの活用に変更。電気事業連合会の「電力館」は1970年大阪万博など過去出展した4回の国内博覧会で全てライド型展示だったが、今回は歩いて巡るパビリオンとする。

 ライド型展示を明言した海外パビリオンは現時点で1カ国もない。出展団体の関係者は「会場に100以上の建物が建設されるが、ライドをやれるパビリオンはどこもないと思う」と話す。

 05年愛知万博では電力館のほか、希少動物との触れ合いをテーマにした「日立グループ館」のライドが人気を集めた。全長300メートルの軌道上を乗り物で走るドイツ館にも連日長蛇の列ができた。

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