世耕氏 近大入学式で“KY祝辞”「自分の立ち位置をしっかり把握して」 SNSで非難の嵐
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自民党派閥の裏金事件で離党した世耕弘成前参院幹事長（和歌山選挙区）が6日、大阪府東大阪市で行われた近畿大の入学式で約8000人の新入生に祝辞を述べた。世耕氏は近大の理事長で、4日に離党を表明後、入学式には参加すると表明していた。
事件や離党に関し、謝罪や説明があるか注目を集めたが、一切触れなかった。それどころか「変化の激しい社会における自分の立ち位置をしっかり把握して、立派な社会人として巣立っていただきたい」と発言。入学式の動画が生配信されていたことから、早速この“KY祝辞”に非難と疑問の声が湧き上がった。立憲民主党の蓮舫参院議員はSNSに「ご自身の立ち位置が見えていない方に言われても…」と投稿。SNS上には「自分の立ち位置を把握して議員辞職、理事長辞任では」「一番把握していないのはこの人」などと続々と書き込まれた。会場前では「理事長にふさわしくない」などと書かれたビラをまく人の姿も見られた。
近大は世耕氏にとっては“家業”。祖父で元衆院議員の弘一氏が母体となった2つの学校の校長と学長を務めていたことから、近大創立に当たって初代理事長に就任。伯父で元参院議員の政隆氏が2代目、父の弘昭氏が3代目と世襲で引き継いできた。世耕氏は4代目となり、内閣官房副長官となった際に一時、職を離れたが、2019年から再び6代目理事長に就いた。なお弟の石弘氏は経営戦略本部長を務めている。
その“身内”からは既に2度、退陣を求められている。近畿大学教職員組合は昨年12月と今年1月、大学側に辞任要求を突きつけた。SNSに「政治家の片手間で理事長を続投するのも迷惑ですし、近畿大学の資金管理にも不安が残る」などと投稿している。教職員の一部は3月下旬、世耕氏の辞任を求める署名活動を署名サイトで始めた。5万人が目標で、6日夜には3万9000人を突破した。
党の処分に素直に従い離党届を提出した世耕氏。その心境を「明鏡止水」と動じぬ姿を見せた。この機に噂されていた衆院に鞍替えし、次期衆院選へ無所属で出馬するとの見方もある。ただ、裏金事件の関連議員への有権者の疑念は深い。足元の近大からもこのまま激しい突き上げを食らい続けるようでは、青写真は崩れかねない。
