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岸田首相の思惑 萩生田氏は軽い処分、党役職停止1年 9月総裁選での再選へ萩生田氏取り込み?

[ 2024年4月5日 04:40 ]

 派閥の政治資金パーティー裏金事件で自民党は4日、関係議員ら39人の処分を決めた。岸田文雄首相ら執行部が厳罰方針を党紀委員会に提示し、了承された。安倍派の衆院側、参院側でトップだった塩谷立、世耕弘成両氏は、除名に次いで2番目に重い「離党勧告」。派閥で事務総長経験者の下村博文、西村康稔、高木毅の3氏には、3番目に重い党員資格停止を科した。幹部協議に出席した下村、西村両氏の停止期間は1年。高木氏は参加していなかったことを加味し6カ月の停止。派閥幹部でやはり事務総長を務めた松野博一氏と、萩生田光一氏は6番目に重い「党の役職停止」とした。

 注目された首相自身、二階派の二階俊博会長には結局、処分はなし。首相は「個人として不記載がなく、岸田派の不記載は事務的なミスで所属議員に資金が渡っていなかったため」と理由を説明した。党総裁でもある首相は無傷。加えて、安倍派が資金還流を復活させた理由、裏金は何に使ったのかなど、実態解明がなされない中で処分だけを急いだことに党内からは不満が噴出した。

 発表された処分には、首相の思惑が透ける。永田町では「萩生田氏の処分の軽さが突出している」との指摘があった。萩生田氏は“安倍派5人衆”の一人だが、塩谷、下村、松野、西村、高木氏とは違い、派閥の実務を取り仕切る事務総長を経験していない。それだけ処分が軽くなったとの見方もある。ただ、不記載額は立件ラインギリギリの2728万円と金額が大きい。

 政治評論家の伊藤惇夫氏は「5人衆の中で森喜朗元首相とも距離が近く、安倍派でも影響力が高い点を考えると(2段階重い処分の)“選挙における非公認”ぐらいが妥当。処分を軽くすることで、総裁選に向け萩生田氏を取り込もうとしているのではないか」と推察。9月の党総裁選で再選を目指す岸田首相、さらにポスト岸田を狙う茂木敏充幹事長の“思惑”が働いたとの見方を示した。「萩生田氏は安倍派の若手議員を束ねる存在。森氏、麻生太郎副総裁、菅義偉前首相ら党の実力者とのパイプも太い。取り込むメリットがある」とした。

 岸田首相と茂木氏は、岸田首相が「派閥解消」を茂木氏への相談なしに表明したといわれる件などで“溝”が深まっている。総裁選をにらみ、今回の処分ばかりは呉越同舟だったようだ。

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