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「紅こうじ」3年継続摂取後に死亡 1人が腎疾患で 小林製薬が遺族に面会 因果関係を調査

[ 2024年3月27日 05:30 ]

 小林製薬が製造した「紅こうじ」のサプリメントを摂取した人の健康被害が相次いでいる問題で、同社は26日、1人が腎疾患で2月に死亡していたと発表した。サプリを約3年間、継続して摂取していたとみられる。死亡との因果関係が疑われるとして、詳しい調査を進める。死亡につながった可能性がある事例の判明は初めて。

 同社は死亡した人の居住地や性別、年齢は明らかにしていない。2021年4月~24年2月に紅こうじ成分を配合した機能性表示食品のサプリ「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」計35袋を通信販売で定期的に購入していた。同社はこの日、遺族に面会。摂取状況や詳細な症状の把握を急ぐ。

 問題を公表した22日以降、電話やメールでの問い合わせや相談などが殺到。遺族からは23日にメールで情報提供があったが、対応が追いつかず、25日になって死亡を把握した。

 一方、サプリ摂取後に入院した人は70人超にまで増える見通しとなった。26日午前までに新たな入院情報が約50人から寄せられた。当初は6人。24日時点では26人で、いずれも腎疾患。一時、人工透析が必要になった人もいた。通院者数を含む最新の被害件数は集計中で、被害規模の拡大は不可避の状況だ。

 ノエビアの紅こうじ配合サプリ「DHA&EPA」など、自主回収の動きはさらに拡大。小林製薬は食品メーカーなど52社に原料を供給。卸売業者も含まれており、実際に使っていた企業数はさらに多い可能性がある。

 同社が健康被害を把握したのは1月15日。22日の自主回収発表まで2カ月以上も要していた。武見敬三厚生労働相は記者会見で「行政などに情報提供をしていなかったことは遺憾だ」と指摘。自見英子消費者・食品安全担当相も、同社から消費者庁への連絡が22日の会見直前だったとして対応を批判した。武見氏は、食品衛生法上の対応が適切かどうか確認するため、同社担当者にヒアリング。政府は厚労、農林水産両省などによる連絡会議の開催を検討している。

 15年の機能性表示食品の制度開始後、メーカーが健康被害を公表して自主回収するのは初めて。同社は紅こうじ成分を含むサプリ8件に関し、機能性表示食品の届け出を撤回すると国に報告した。

≪「カビ由来の未知の成分」検出 成分特定が原因究明の鍵に≫小林製薬の「紅こうじ」の一部からは「カビ由来の未知の成分」が検出され、腎疾患につながった可能性がある。専門家からは「製造過程で微生物などが混入し、有害物質が発生した可能性も否定できない」との見方が出ており、この成分の特定が原因究明の鍵となりそうだ。

 紅こうじは、血中コレステロール値を下げる効果が期待できるとしてサプリメントとして販売されている。また食品の着色や風味付けなど幅広い用途で使われている。ただ「シトリニン」というカビ毒をつくることがあり、欧州では使用を制限する動きもある。一方、小林製薬の紅こうじからは、問題発覚後もシトリニンは検出されていない。

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