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坂本龍一さんが懸念していた明治神宮外苑の樹木伐採、新宿区長がコメント 生前の手紙に言及

[ 2023年4月5日 11:41 ]

 東京・新宿区の吉住健一区長が、5日までに自身のSNSを更新。3月28日に死去した音楽家の坂本龍一さんを追悼するとともに、坂本さんが生前に懸念していた東京・明治神宮外苑の再開発による樹木伐採について見解を示した。

 吉住区長は4日夜、「お問合せの多かった神宮外苑の件について正式なコメントを発表する用意が整いましたので下記の通りプレスリリースをしました」として、区のホームページに「神宮外苑を構成する緑の保全」及び「坂本龍一氏のご逝去」についてのコメントを掲載したことを報告。

 環境問題に積極的に取り組んでいた坂本さんは生前、小池百合子都知事宛に「神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆をとりました。どうかご一読ください」と手紙を送付。「率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と、再開発の見直しを求めていた。

 この日、神宮外苑を擁する新宿区は「神宮外苑地区のまちづくりに関する行政手続きにあたる、東京都風致地区条例に基づく樹木の伐採許可について、区民の皆さま、関係者の皆さまから、『明治天皇の事績を敬い、全国の篤志家のご奉仕によって造成された神宮外苑の歴史と緑環境を守るべき』との様々なご意見・ご要望を頂いています」とした上で「区は、東京都からの意見照会に際し、『創建時からある既存の樹木は保全に努められたい』、『神宮外苑の創建趣旨を踏まえ、歴史や文化を踏まえた計画とされたい』、『計画全体の中で緑の質の向上を図り、緑豊かな都市環境の保全・強化に努められたい』と回答してきました」として、区としての考え方を提示。「建国記念文庫周辺の神宮外苑の創建時からある移植可能な樹木について、当該地で移植が困難な場合には、区有地に移植するなど、将来的に神宮外苑地区の歴史ある風致を継承できるよう協力する」「明治神宮外苑造営の趣旨を後世に伝えるため、事業者に対して、史実の検証を求め、改めて樹木の保全等への協力を要請する」などの4項目を発表した。

 また、「坂本龍一氏のご逝去について」と題した別紙では「敬愛する音楽家、故坂本龍一様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げます」と追悼。「生前の坂本龍一様からのお手紙をはじめとして、関係者の皆さまからのご意見やご質問をいただき、本日コメントを発表する予定でしたが、突然の訃報に驚いております。区は、都市マスタープランや環境基本計画に基づいて『7つの都市の森』の保全や拡充、まちなかの緑化などを通じて緑被率を高めてきました。今後も、賑わいと潤いのバランスのとれたまちを目指して取り組んでまいります」と声明を発表した。

 この声明発表には「新宿区区長、素敵な第一歩です!」「真摯なコメントに敬意を表します」「現状の景観を残しつつ再開発、が良くないですか?」「真摯なご対応をありがとうございました」と、さまざまな意見が寄せられた。

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2023年4月5日のニュース