初開催サーフィン会場に特需ビッグウエーブ 「千葉・一宮町を聖地に」来訪者や移住者増え地価上昇

[ 2020年1月13日 05:30 ]

一宮町に集まるサーファー(撮影・岸 良祐)
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 2020年東京五輪で初めて実施されるサーフィンの注目度が高まる中、競技会場となる千葉県一宮町が“特需”に沸いている。訪れるサーファーや移住者の数が増え、地価も上昇。施設の整備も進んでいる。「一宮をサーフィンの聖地に」。町民の期待も膨らんでいる。 (小枝 功一)

 五輪の戦いの舞台になるのは、九十九里浜の釣ケ崎海岸にあるサーフポイント「志田下(しだした)」。年間を通して良質の波が来ることから、プロサーファーや上級者が練習で利用し「波乗り道場」とも呼ばれる。周辺には“五輪効果”の波が押し寄せている。

 年明け早々の夕方。海には多くのサーファーがいた。6年前から一宮町で暮らすプロサーファーの西崎公彦(28)は「4年前に五輪会場に決まって、サーファーの数が格段に増えた。以前に比べると1・5倍くらいになっているかな。波の取り合いになって練習にならない日もあるほど」と最近の混雑ぶりを語る。

 海沿いの九十九里ビーチラインにあるサーフショップの店員によると、昨年秋のラグビーW杯期間中には、母国応援の合間に五輪会場で“腕試し”してみたいと訪れた外国人サーファーもいたという。超一流選手が練習に来る機会も増えており、東京五輪でメダルの期待がかかる五十嵐カノア(22)が、志田下に姿を見せた時は大勢の見物客が海岸に集まった。プロサーファーを目指して、3年前に北海道から引っ越してきた多和哲太さん(19)は「プロから初心者までみんなが同じ海で練習できるのがサーフィンの魅力の一つ。凄いサーファーが続々と一宮に集まっているので、刺激を求めて来た部分もある」と語る。

 一宮町は元々、年間60万人以上が訪れるサーフィンの名所だった。東京駅から、町の玄関口である上総一ノ宮駅まで特急で約1時間。都内に通勤しながら、サーフィン漬けの生活を送ろうと移住してくる若い世代も多い。町は15年からサーフィンによる経済効果を狙った「サーフォノミクス」を打ち出し、移住者の開業を支援するなどしてきた。ただ、長年の課題だったのが、神奈川・湘南に比べて知名度が不足していること。そこで東京五輪に目を付け誘致を展開し、16年に競技会場に選ばれた。

 会場決定はすぐに「特需」をもたらした。減少が続いていた町の人口は17年に増加に転じ、海岸近くの東浪見(とらみ)小学校は昨年春、児童数が会場決定前より2割増の149人になった。親がサーファーで、プロサーファーを目指す児童も増えているという。

 町の地価も17年に下落から上昇に転じた。同年に発表された基準地価で東浪見地区の住宅地は3・1%の上昇を記録した。一宮不動産の勝又泰雄社長(62)は「東日本大震災直後は海沿いの物件の下落がひどくて値段もつかないほどだったが、今は震災前の相場を超えている。以前のことを考えるとうそみたいな盛り上がり」と笑顔を見せる。玄関前に砂などを洗い流せるシャワーなどがある、サーファー向けの住宅やアパートなどの建設が現在も海沿いの住宅街で進んでいる。

 課題は「五輪後」だ。一宮町オリンピック推進課の大多和豪さんは「この盛り上がりを一過性で終わらしてはいけない」と語る。町は釣ケ崎海岸広場に、8624万円を投じて多目的ルームを併設したシャワー付きトイレを整備中。五輪後もサーファーや海水浴客に開放し、にぎわいをもたらしたい考えだ。利便性向上のため、上総一ノ宮駅では五輪直前の6月の完成を目指して東口の開設工事が進んでいる。大多和さんは「五輪のレガシー(遺産)を残して、一宮町をサーフィンの聖地として根付かせたい」と力を込めた。

 ▽千葉県一宮町 千葉県東部、太平洋に面する。人口約1万2000人。古くから地引き網漁や農業のほか、別荘地としても発展してきた。町のシンボル「玉前(たまさき)神社」はパワースポットとして注目を集める。10年ほど前から、サーファーの町にちなんで「波乗守」を売りだしており「サーフィンの波ばかりでなく人生の荒波にも耐え、開運の波に乗れる」と御利益をうたう。

 【最終選考会は5月に開催】東京五輪サーフィン競技の出場権は五十嵐が暫定的に獲得している。昨年のチャンピオンシップ・ツアー(CT)年間ランキングで要件を満たしたため。今年のワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当)に出場すれば正式に代表に決定する。五輪の国枠は男女とも最大2。東京五輪最終選考大会となるWGは5月に開催される。東京五輪では7月26日から8月2日までの8日間を設定した上で、実際の競技は条件が整った4日間で行う。競技が行われない4日間は音楽ライブなどのフェスティバルのみの開催となる。

 【キムタクら芸能人も来る】九十九里浜には有名なサーフポイントが多くある。木村拓哉(47)や三浦春馬(29)らサーフィン好きの芸能人が度々訪れているポイントもあり、あるサーファーは「気がついたら芸能人が目の前で練習していることも珍しくない」と語る。ただ、プライベートで来ている有名人に、むやみに声を掛けないというのがサーファー間の暗黙のルールだという。

 【伊豆は自転車で活性化】自転車競技開催地となる静岡県伊豆市では自転車文化を根付かせ、地域活性化につなげようとする動きが広がっている。18年9月に道の駅「伊豆のへそ」(静岡県伊豆の国市)で開業した「メリダ・エックス・ベース」は、スポーツ自転車の展示やレンタルを行う施設。約1300平方メートルの展示施設にキッズ用から本格競技用まで約250台のスポーツ自転車が並ぶ。貸し出しのほか、競技経験のある従業員らが地元の小中学校で自転車教室を開くなどしている。

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