大改修あづま球場さらにスコアボード増設 東京五輪で世界に示す復興ビジョン

[ 2019年10月14日 10:00 ]

ソフトボール6試合と野球の開幕試合を行う福島県営あづま球場。豊かな自然とも調和。復興五輪の舞台になる(小型無人機から)
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 2020東京五輪で野球・ソフトボール競技の会場となる福島県営あづま球場に、新たにスコアボードと大型ビジョンが増設されることが13日までに分かった。すでに五輪本番に向けた大改修を終えたばかりの同球場だが、来年7月24日の開幕に先駆け同22日にソフトボール競技がスタートする実質的な開幕会場なだけに、その準備にも力が入る。復興五輪の象徴でもあるスタジアムが五輪仕様へと大変貌を遂げる。

 今回、増設されるスコアボードは現在のあづま球場にあるスコアボードを残したまま、さらに付け加える形になる見通しだ。今あるスコアボードは先発メンバーが縦書きで並べられるスタイルだが、それでは外国人選手の氏名の英語表記ができない。そのため、先発メンバーが横書きで表示できるよう部分的に増設されることになる。

 先発メンバーが表示される部分は、左翼側、右翼側ともにカラー映像が流せるビジョンにもなっている。だが、サイズ的には小さく見づらいのが現状。今やビデオでのリプレー検証の導入が当たり前なだけに、スタンドの観衆から見やすい大型ビジョンの増設は必然的な流れだった。2020東京五輪パラリンピック組織委員会の藤田祥広会場運営担当副部長は「(大型ビジョンの設置場所は)まだ最終的な関係者との合意が取れていないので(候補は)複数ある」としており、設置場所は検討段階だが、年内にも工事をスタートさせる予定だ。

 福島県は五輪開催に対応すべく昨年10月からあづま球場の改築に着手。グラウンドを全面人工芝に張り替えたほか、外野フェンスのラバーを厚さ8センチから14センチにして安全性を強化。外野芝生席には階段状の観戦席も造った。さらに、屋外ブルペン、室内練習場をリニューアルし、選手ロッカー、シャワー室、トイレも整備した。また、バリアフリー化も徹底し、車いす用の観戦席も4カ所から20カ所に増やし、階段には車いすの昇降設備を2機から5機に増やした。

 県関係者は「我々にできることは可能な限りやったつもり」と話したが、内野スタンドの椅子は古いままで、外野席も階段席にできたのは右中間、左中間だけで、外野席全体では約3分の1のエリアにすぎない。そして、スコアボードも既存のままと、残念ながら五輪本番を迎える十分な態勢を整えるには至らなかった。

 東京五輪では競技会場を閉幕後もレガシーとして残すことを重視しているため、五輪後も残す部分に関しては会場のある自治体が改修費用を負担するのが原則だ。だが、福島県では復興への道も半ばということもあり、五輪への予算の持ち出しには県民の厳しい目が向けられているという事情がある。ある組織委幹部も「復興予算をどこまで使っていいものか…という問題があった」と話す。あづま球場の改修には約13億円をかけたが、そのうち約10億円はスポーツ振興くじ助成金を活用するなど、県からの持ち出しは最小限に抑えざるを得なかった。スコアボードや大型ビジョンまでは手の回しようがなかったというのが実情だ。

 組織委はスコアボード、大型ビジョンのほか、特設記者席、正面入り口横にエレベーター1基などを増設する予定。この仮設オーバーレイ工事に18億5000万円をかけることになっている。いずれも規定によりレガシーとしては残せないため、五輪終了までの“仮設”となるが、特別措置として「エレベーターだけは撤去せずに残す方向で検討している」(組織委幹部)という。

 あづま球場では開会式2日前の7月22日と翌23日にソフトボールを各3試合ずつ計6試合、同29日に野球を1試合、合計で7試合を行う。開会式よりも早い“プレ開幕”の会場となるだけに、オープニングイベントも行う方向で準備を進めている。組織委関係者は「世界に復興への感謝を述べる場となる」と話しており、復興五輪の象徴としてかかる期待は大きい。組織委と福島県の強力タッグで、東京五輪のスタートにふさわしい会場造りを推し進める。

 ▽福島県営あづま球場 福島県福島市西部にある「あづま総合運動公園」内にある野球場。1986年完成。両翼100メートル、中堅122メートル。収容人数は3万人(内野1万4390人、外野1万5610人)

 《知事「レガシー確信」》予算の問題はともかく、福島県における東京五輪への期待は極めて大きい。福島県の内堀雅雄知事(55)は「来年は東日本大震災から10年目に入る節目の年になる。五輪は、福島の風評を払拭し、正しい姿を世界に知っていただく大きな機会になる」と、福島の今を全世界に発信していく意欲を示した。あづま球場が将来的には“五輪メモリアルスタジアム”のような形で親しまれていくことになるが、内堀知事は「さまざまな形でレガシーとして未来につながることを確信しています」と期待感を示した。

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