中村俊輔氏 代表とクラブは別物 問われる“対応力”
【月刊中村俊輔 3月号】横浜FCの中村俊輔コーチ(46)がサッカーの魅力を語り尽くす「月刊中村俊輔」。3月号のテーマはW杯イヤーの過ごし方。2度の出場を果たした06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会直前のシーズンを振り返りつつ、代表での新戦力のチーム順応の難しさ、直前合宿でのポイントなどについても語った。 (取材・構成 垣内 一之)
「W杯イヤーだからといって、何かを合わせることはない。正直、そんな余裕ないよ。長いシーズンを終えて、ようやくW杯モードになる。“あと2カ月でW杯!”といった帳尻合わせはできない。自チームでいいプレーをしないと、メンバーから外される可能性もあるしね」
2度のW杯を経験した俊輔氏だが、本大会を控えた直前の重要なシーズンで、あえて特別なことをやることはなかったという。
リスクが伴うように思われがちな直前シーズンでの移籍も「自然な流れ」と前向きに捉えていたようだ。
「代表とクラブは全く別物。まずは新しい国と新しいサッカーになじむことが重要。自分の役割を把握して結果を残し続けないとW杯には出られない。だから“まずは自分のクラブで結果を残さないと”というのはあった」
05年7月にはレジーナからセルティックへ移籍。チームにおける役割は大きく変わった。
「トップ下とかシャドーをやっていたレジーナと違って、セルティックでは右サイドハーフだった。役割は全く違うし、その頃は代表でもトップ下だった。同じ位置、同じシステムでも、代表では役割、コンビネーションも変わってくる。そういうのにも合わせないといけない」
代表とは臨機応変な対応力が求められる場。俊輔氏のように常に軸を担った選手にとっては「自分のキャップ数が増えれば増えるほど、やり方は浸透しているし、代表合宿での(やり方の違いによる)切り替えは問題なかった」という。
ただ一方で、新戦力にとっては難しさがあると指摘する。
「新しい選手はW杯に近づけば近づくほど大変。チームは出来上がっている中で、自分の良さを出すよりも、チームに合わせる割合の方が大きい。自チームでやっているプレーを、代表でやってもそれは正解ではない。対アジアとW杯では戦い方も変わってくる。そういう変化への対応能力が問われる。“自分のプレーがこうだ”ってやれば良いってわけでもない。それも必要だし、模索しながらやることが難しいよね」。逆にその壁を乗り越えさえすれば、チームにとっても大きな戦力となるはずだ。
最後にメンバー選出後の直前合宿については「一つになるための雰囲気づくり。それに尽きる。それがうまくいかないと、(22年)カタール大会みたいな戦い方はできない。全員がチームのやり方を納得してやらないと、パワーは出ない。どれだけ自分の犠牲心を持ってやれるかだと思う」。26年W杯まで約1年3カ月。北中米大会に向けた勝負のW杯イヤーに注目だ。
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