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東電マリーゼ Jクラブに譲渡!川崎Fが有力

[ 2011年8月16日 06:00 ]

マリーゼ時代の鮫島

 東日本大震災による福島第1原発事故の影響を受け、活動休止状態にある、なでしこリーグの東京電力マリーゼが来季から新チームとして再出発を図ることが15日、分かった。関係者によれば、最有力の川崎Fをはじめ鹿島、大宮、柏のJ1クラブが譲渡先の候補に挙がっており、既に川崎Fの親会社でもある富士通などが交渉を進めている。新チームは来季チャレンジリーグ(2部相当)から参戦することになる。

 画期的な「なでしこ救済プラン」が一気に具体化した。活動を自粛している東京電力マリーゼが、J1クラブに譲渡され来季から形を変え、再始動する見通しが立った。

 3月の東日本大震災、原発事故の影響を受けてマリーゼは活動を休止。今季なでしこリーグは1チーム減の9チームで行われている。マリーゼは選手全員が東電社員で福島第1原発で働いていた選手も多く、原発事故が収束していないため活動再開のメドすら立っていない。

 なでしこジャパンのDF鮫島彩が米国のボストン、MF斉藤あかねが浦和に移籍するなど複数の選手がチームを去ることを余儀なくされた。残る選手15人は今も活動の場がなく、フットサル大会に飛び入り参加している選手もいるという。すでに東京電力は撤退を表明しており、存続するには企業などにチームごと譲渡するしかない。

 そんな窮状に、受け入れ先として名乗りを上げたのが川崎Fだ。もともと女子サッカーへの理解が深く、なでしこジャパンのMF宇津木瑠美(モンペリエ)もジュニア時代に下部組織に所属していた。複数の関係者によれば、親会社の富士通を中心に女子リーグ参戦の準備をしているという。

 既に東京電力との話し合いも進んでおり、近く譲渡案の骨子がまとまる見通しだ。練習場や施設などクリアすべき点も残されているが、女子W杯優勝後、協力に興味を示すスポンサーも多く追い風が吹いている。

 マリーゼの選手は本拠地・福島への愛着が強く譲渡先の所在地にもこだわりがあり、比較的福島に近い関東地区が優先される見通しだ。他にも鹿島、大宮、柏などが候補に挙がっており、特に鹿島は受け入れに前向きな姿勢を見せているが、最も熱心な川崎Fが一歩リードしている。

 日本協会関係者も「まだクラブ名は言えませんが、譲渡する方向で進んでいます」と明言した。なでしこリーグは9月下旬に来季日程を決める。そこが譲渡先決定の期限だが、それまでには交渉がまとまる見込み。新チームは来季チャレンジリーグから参戦する。

 ▽東京電力マリーゼ 97年YKK東北女子サッカー部フラッパーズとして創設。当時の本拠地は宮城県。04年東京電力へ移管。ホームタウンは福島県双葉郡。本拠地はJヴィレッジ・スタジアム。昨季は11勝1分け6敗で3位。愛称には「海(マリーン)のように力強く、風(ブリーズ)のようにさっそうと」の意味を込めた。

 ▽日本女子サッカーリーグ 89年発足。94年略称がLリーグに。04年2部制を導入し、愛称がなでしこリーグに。今季なでしこリーグは9チーム、チャレンジリーグはEAST、WES T各6チーム。なでしこリーグ準加盟の資格を持つチャレンジリ ーグ各地区2位以内の最上位同士がホーム&アウェーで対戦。勝者がなでしこリーグに昇格。

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