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マルセイユ 名門復活の影に“規律”あり

[ 2009年4月14日 06:00 ]

<マルセイユ・グルノーブル>ゴールを決め、祝福されるDFタイウォ(左から2人目)

 フランスリーグ第31節の3試合が12日に行われ、マルセイユがグルノーブルに4―1で快勝し、4連勝で首位に浮上した。昨季途中から就任したエリック・ゲレツ監督(54)がチームを再建し、91~92年シーズン以来の優勝を視界にとらえた。8連覇を狙うリヨンはモナコと2―2で引き分けて2位に転落。フランスリーグは勝ち点5差に上位6チームがひしめく大混戦となった。

 終了の笛に満員の5万6953人で埋まった本拠地ベロドロームが沸いた。終盤戦に入った第30節以降では98~99年シーズン以来の首位浮上。ゲレツ監督は「選手は勝利への強い思いを証明してくれた」と試合を振り返った。

 動きが硬かった前半は格下に苦戦したが、後半は一変。7分にDFタイウォがPKで口火を切ると、7分後には右CKから加点し、さらに6分後にもタイウォが30メートルのミドル弾を蹴り込んだ。

 52得点はリーグ最多ながら強力なのは攻撃陣だけではない。後半ロスタイムに1点を失ったが、1月以降は12試合で失点3と守備も安定。1月の移籍市場で攻撃一辺倒だった前線にシャフタル・ドネツク(ウクライナ)からブランダンを補強した。前線での守備意識が強い1メートル89のブラジル人FWを加えて攻守のバランスが改善され、1月以降は9勝2分け1敗。抜群の安定感を発揮する。

 07年9月に就任したベルギー人のゲレツ監督は厳格な規律でチームを改革。全員がそろった上での食事を義務づけ、チーム批判を行った選手を処分する一方で復活のチャンスも与えた。今季は代表の新世代スターでもある22歳のMFベンアルファを獲得したが、先発を16試合にとどめるなど力量と状態を見極めた。公平な起用でチームを掌握。この日2点目を決めたタイウォは真っ先に指揮官に抱きつき「彼が助けてくれたおかげでうまくプレーできるんだ」ときずなの強さを訴えた。

 評価を高めたゲレツ監督には不在となっているベルギー代表監督就任の可能性も浮上しているが、主将カナは「彼の去就は私の決断にも影響する」と指揮官の残留を求める。八百長による93年の優勝はく奪後はタイトルから見放されてきたフランス屈指の名門が、強い一体感とともに再び優勝への道のりを歩き始めた。

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2009年4月14日のニュース