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Jが裁定文誤訳?我那覇問題まだゴタゴタ

[ 2008年5月29日 06:00 ]

我那覇問題で会見したJリーグの鬼武チェアマン

 川崎FのFW我那覇和樹(27)がドーピング禁止規定違反でJリーグから受けた処分を無効としたスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定に関し、誤訳疑惑が持ち上がった。Jリーグの鬼武健二チェアマン(68)は28日の会見で裁定について「(我那覇が受けた点滴が)正当な医療行為かどうか明らかにならなかったことが残念」と不満を示したが、我那覇の弁護団が「誤訳は明らか」と指摘。今後、徹底抗戦する姿勢を示した。

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 鬼武チェアマンの会見は我那覇に対する謝罪から始まった。「我那覇選手には1年間苦労をかけた。本当に申し訳なかった」。我那覇が受けた6試合の出場停止の記録を抹消することを明言。その間の出場給を補償することも検討する姿勢を示した。

 「裁定結果は真しに受け止めます」と話した鬼武チェアマンだが、一方でCASへの不満も口にした。我那覇が後藤前チームドクターから受けた点滴が“正当な医療行為だったか否か”の部分だ。Jリーグは英文で発表されたCAS裁定の47項について「正当な医療行為であったことを認容することについては、そういう意向になることもあるかもしれないところ」と和訳し、正当な医療行為とは断定していないと解釈。これに伴い、川崎Fに科した制裁金1000万円は返却しない方針を示した。羽生事務局長は「クラブへの処分はドーピング違反があったとしての管理責任を問うた。そういった意味では、今のところ返す論拠がない」と説明した。

 だが、会見を受けて取材に応じた我那覇の弁護団はJリーグ側の誤訳を指摘した。望月浩一郎弁護士は「英語を勉強していただければおのずと分かること」「相手方の解釈は真逆。ねじ曲げて解釈している」とし、さらには「しかるべき学術誌に投稿する。社会にどちらが正しいか問いたい」と戦う姿勢を示した。確かに47項だけを見ても、前後の文章や結論部分となる48項からも、CASは正当な医療行為でドーピングではないと断じており、Jリーグ側の解釈は苦しいと言わざるを得ない。川淵キャプテンは「議論すればいいこと」と両者が話し合うことを求めたが、我那覇問題はさらにこじれる可能性も出てきた。

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2008年5月29日のニュース