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日本またメダルに届かず…長島、1回目3位も失速6位

[ 2014年2月11日 05:30 ]

金メダルに遠く及ばず悔しい表情の長島

 日本の両エースはメダルに届かなかった。10日のソチ五輪スピードスケート男子500メートルで、10年バンクーバー五輪の銅メダリスト加藤条治(29=日本電産サンキョー)は5位、同銀メダリスト長島圭一郎(31=同)は6位に終わった。長島は1回目に34秒79で3位につけたが2回目は35秒25と失速し、合計1分10秒04で順位を下げた。1回目34秒96で5位だった加藤も、2回目34秒77と巻き返せず合計1分9秒74。ミヘル・ムルダー(27=オランダ)が優勝。及川佑(33=大和ハウス)は15位、上條有司(27=日本電産サンキョー)は20位だった。

【男子500メートル競技結果】

 バックストレートで夢がついえていった。1回目34秒79で3位とメダル圏内につけた長島の2回目は最終組。1回目首位のスメーケンス(オランダ)にインスタートで後れを取り、直線に入ってさらに失速した。オランダ勢が34秒台を連発する中で35秒25にとどまり、加藤にも抜かれて6位。「いろいろあった4年間。経験できないことをできたのはよかったけど、結果がついてこなかったんで、あんまり…。仕方ないです」。バンクーバー五輪の銀から4年、金メダルだけを求めた3度目の夢舞台。インタビューの間もぼう然としたまま、視線がさまよった。

 苦闘の4年間だった。バンクーバー直後の10年5月、自転車練習でチームメートの転倒に巻き込まれた。欠けた歯はすぐに治療したが、痛めた右太腿裏の筋肉の回復が遅れ、歯車が狂い始めた。「考えたことを体に出すまで半テンポくらい遅いから、氷を捉えるのも遅くなっていって。負の連鎖が続いた」。それでも1シーズンにW杯で最低1勝。持ち前の技術だけはさびつかせなかった。

 今季開幕の全日本距離別選手権では2回目にフライングで失格。前年のW杯ランク6位で救済され、何とかW杯前半戦代表に滑り込んだ。W杯開幕戦は格下のBクラス。だが、Aクラスを含めて最速タイムを叩き出し、その後2勝を挙げた。これまで「辞めよう」と思った中学卒業、高校卒業、大学3年時に必ず記録を出してきた男は、今回も“1年入魂”で五輪の舞台に戻ってきた。

 個人練習主体の加藤とは対照的に若手と一緒に体をいじめ抜いた。「最後は根性。スパルタトレだと思う。個人対個人で外国人と同じことをやってもダメ。もともとフィジカルも違う」。昨夏はショートトラック日本代表と滑り込み、杉尾憲一コーチを「一本一本の練習に取り組む姿勢、吸収しようという気迫が凄い」とうならせていた。

 バンクーバーでは1回目6位から2回目1位で銀。先月の世界スプリント(長野)も1回目8位から2回目で3位に入った。一発に懸ける集中力は健在だったが、本番で最後に失速した。「いつも通りとはいかない、五輪なので。いやもう悔しいです。情けないですけど申し訳ないです」。日本勢メダル1号になり損ね、最後は謝罪した。

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