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五輪代表・菊池姉妹に意外な?援軍 熊本県菊池市「一族の英雄だ」

[ 2014年2月11日 05:30 ]

 ソチ五輪で奮闘する日本選手に向け、地元や縁の深い各地から熱い声援が送られる中、長野県出身のスピードスケート菊池彩花(26)とショートトラック菊池萌水(21)の姉妹代表に意外な場所からエールが送られている。熊本県菊池市が「菊池」つながりで、市を挙げて応援。「菊池の名前を世界にとどろかせて」と、メダル獲得を祈っている。

 信州出身の姉妹代表に対し、直線距離で約790キロ離れた「火の国」の同名一族から熱いエール。市によると、全国の「菊池」姓の多くは平安から室町時代に九州で活躍した菊池一族に由来。「姉妹もおそらく末裔(まつえい)だと思う」と主張している。

 市には一族の武将をまつる菊池神社があり、同神社を本部として日本各地の菊池さんによる親睦団体「全国菊池の会」が組織されている。1月上旬、長野県在住の会員から団体に「菊池姓の姉妹がソチ五輪に出場する」との連絡が入り、団体から江頭実市長に情報が寄せられた。市は、世界に羽ばたく“一族の英雄”支援を決定。1月13日に南相木村で行われた2人の壮行会に、江頭市長名で「菊池市、5万1000人を挙げて応援します。2人の菊池さん、頑張ってください」と激励メッセージを送った。菊池神社も祝電と、必勝祈願のお守りを届けた。

 菊池市は比較的温暖な地域で、ウインタースポーツとは無縁。市内にスケート、スキー場はなく、市によると「これまで冬季五輪代表選手は出ていない」。菊池一族は各地へ広がっていったため「実は市内には菊池姓がほとんどいない」という“珍現象”も。

 萌水がエントリーしていたショートトラック3000メートルリレーは10日、決勝進出を逃したが、市民一丸で応援する姿勢は変わらない。彩花が出場予定のスピードスケート1500メートル(16日午後11時~)は市の施設でパブリックビューイングを行い、メダル獲得を祈る。菊池一族の武将を模した鎧(よろい)姿の応援団が、ほら貝を吹いてメダルを後押しするという。

 五輪出場の快挙を祝い、市は今秋開催する「第1回菊池一族シンポジウム」に2人を招待する予定。「メダル獲得となれば、名誉市民を検討することになるかもしれません」と話している。

 「全国菊池の会」の会員は約200人だが、市によると全国の菊池(菊地を含む)さんは約13万人。市は「キクチの名前を世界にとどろかす絶好のチャンス。健闘をお祈りしています」と期待を寄せている。

 ≪5姉妹 4人がスケーター≫彩花と萌水は5人姉妹の次女と四女。美容師の長女真里亜さん(28)を除けば三女悠希(立大3年)、五女純礼(すみれ、長野・小海高3年)もスケート選手。地元の長野県南相木村では“美人スケーター4姉妹”として人気。父親の毅彦さん(57)は村長を務め、元国体選手で母の初恵さん(52)は小学生まで4姉妹のコーチをしていたという。初恵さんから見て彩花は「頑張りすぎ」、萌水は「猪突猛進型」。毅彦さんは16日にソチに向かう予定。

 ◇菊池市 熊本県北部に位置。05年に菊池市、七城町、旭志村、泗水町が合併して、現在の市に。肥よくな土地で米、メロン、シイタケなど農業が盛ん。菊池渓谷は日本名水百選に選ばれている

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