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沙羅、ダントツ金候補一転…イラシュコ絶好調 最長不倒2発

[ 2014年2月11日 05:30 ]

ソチのジャンプ台で調整する高梨

 ソチ五輪から初めて採用される女子ジャンプで、高梨沙羅(17=クラレ)が11日(日本時間12日午前2時30分)、いよいよ登場する。今季はW杯13戦10勝とダントツの金メダル候補だが、ここにきてダニエラ・イラシュコ(30=オーストリア)ががぜん、調子を上げており、高梨の対抗馬に名乗りを上げてきた。9日までの公式練習では、一緒に飛んだ5回のジャンプで高梨が飛距離で上回ったのは1回のみ。最終盤の調整でジャンプの修正を施せるかがメダルの色を左右する。

 どんな勝負にも絶対はない。五輪の舞台ともなればなおさらだ。敵なしの快進撃を続けてきた高梨だが、ソチ入り後の状況は必ずしも金メダルへ視界良好とは言えない。

 9日には2度目の公式練習が行われた。3本を飛び終えた後も「なかなか自分の課題を攻略できなかった。最後の公式練習3本と試合前の試技1本で何とか戻したい」と反省点を口にした。1回目は98・5メートルでイラシュコに次ぐ2位。2回目は98メートルで、イラシュコだけでなくフォクト(ドイツ)にも後れを取った。しかもイラシュコは2本とも1段ゲートを下げての最長不倒だった。現地入りした父・寛也さんには「アプローチを組むのが遅い」と指摘を受けたが、「なかなか自分のポジションに乗れない」と改善には至っていない。

 公式練習では飛型点のジャッジはつかないため、飛距離と飛型の合計で争う試合本番とは一概に比較はできない。ただし、海外ブックメーカーの優勝予想オッズもここにきて接近している。「ウィリアムヒル」は高梨が1・73倍、イラシュコが2・3倍、フォクトが13倍。「bet365」も高梨が1・65倍、イラシュコが2・5倍、フォクトと伊藤有希が13倍となっている。高梨の1番人気に変わりはなくとも、イラシュコとは僅差だ。

 イラシュコは昨年、イザベル・シュトルツさんと同性婚した。ロシアで昨年、同性愛宣伝禁止法が成立しているが「今、何かを抗議するのは得策じゃないし、そのつもりもない。一人のスポーツウーマンとしてここにきた」と態度を表明。「ただ素晴らしいジャンプを見せることが私の声明になる」とモチベーションは高い。

 日本の期待を背負う17歳か、黎明(れいめい)期から活躍してきた30歳のベテランか。それとも他の選手が割って入るのか。女子ジャンプの初代五輪女王が決まる時がいよいよやってきた。

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