【アイビスSD】ビリーバー45戦目、杉原12年目の重賞初制覇 石毛師もオーナーも初歓喜

[ 2022年8月1日 05:30 ]

<新潟11R・アイビスSD>鋭く伸びて一気に突き抜けたビリーバー(中央)が重賞初制覇(撮影・光山 貴大)
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 夏の新潟開幕を告げる名物重賞は“初物ずくめ”の大団円。サマースプリントシリーズ第3戦「第22回アイビスサマーダッシュ」が31日に行われ、7歳牝馬ビリーバーが通算45戦目で重賞初制覇。鞍上の杉原誠人(29)、管理する石毛善彦師(67)、オーナーのミルファームもそろって、うれしいJRA重賞初Vとなった。注目された女性騎手対決は藤田菜七子(24)のスティクスが5着、今村聖奈(18)のオヌシナニモノは15着。藤田が先輩の意地を見せて先着した。

 全てが理想通りだった。外め16番枠からスタートしたビリーバー。外ラチめがけて殺到するライバルに前に入られ位置を下げたが、鞍上の杉原は冷静だった。「いつも以上にスタートが速くて、理想のポジションを楽に取れた。道中も馬なり。いつもはムキになる馬が、いいところで力も抜けた。気持ちが強くて狭いところが好きな馬。あとは前さえ空けば、かわせる手応えだった」。鞍上の信念が通じた。残り100メートル。わずかに空いたスペースを逃さず一気に突き抜けた。

 デビュー12年目での重賞初勝利。「本当にうれしい。最高です」。ストレートに喜びを表現した杉原。「先生(石毛師)もオーナー(ミルファーム)も、ずっと乗せ続けて何回もチャンスをくれた。何とか勝ちたいと思っていたが、初めてうまくいった」。恩返しの1勝に笑顔がはじけた。

 杉原は今春まで藤沢和雄厩舎に所属。殿堂入りしたレジェンドトレーナーから競馬の本質を学んだ。レイデオロやグランアレグリアなど一流馬の調教も担当。名門厩舎を陰から支えた。70歳定年による厩舎解散で3月からフリーに。「心機一転。そういう意味でも勝てたのは大きい」。初タイトルは師弟にとっても、うれしい1勝。「藤沢先生にはいつも(自家生産の)野菜をもらっている。また取りに行くので、その時にゆっくり報告します」とはにかんだ。

 ビリーバーを管理する石毛師は95年の開業から28年目での重賞初制覇。「いろんなことがあったから、諦めずやってきてよかった」と感慨深げ。「2分の1の抽選を通って枠も良かったので運もあった。杉原と“狙える”と話していたが、こんなにうまくいくとは。馬に携わってくれたみんなが努力してくれたおかげです」と感謝の言葉を口にした。次走は未定だが「除外も多かった馬なので、これで賞金的にも好きなレースを使えるのがうれしい」と師。通算45戦。苦楽をともにした7歳牝馬の恩返し。レース後の検量エリアは、祝福と感謝の穏やかな空気に包まれていた。

 ◆ビリーバー 父モンテロッソ 母デイドリーマー(母の父ネオユニヴァース)牝7歳 美浦・石毛厩舎所属 馬主・ミルファーム 生産者・北海道浦河町のミルファーム 戦績45戦5勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億6186万7000円。馬名の由来は信じる者(母名より連想)。

 【アイビスSDアラカルト】

 ☆騎手 杉原のJRA重賞は54回目で初勝利。これまでの最高着順は3着(17年アイビスSD=レジーナフォルテ、18年阪神C=スターオブペルシャ、20年アイビスSD=ビリーバー、21年福島牝馬S=サンクテュエール)。

 ☆調教師 石毛師のJRA重賞は延べ102頭目の出走で初勝利。これまでの最高着順は2着(02年カブトヤマ記念=シルクサンライズ、10年目黒記念=イケドラゴン、12年函館記念=イケトップガン)。

 ☆モンテロッソ産駒 JRA重賞は産駒延べ35頭の出走で初勝利。これまでの最高着順は2着(20年中山牝馬S=リュヌルージュ、20年中京記念=ラセット)

 ☆外枠有利 8枠の勝利は18年ダイメイプリンセス以来で通算8勝目。5枠と7枠の4勝を引き離してトップ。

 ☆牝馬強し 牝馬は20年ジョーカナチャンから3年連続勝利。通算成績は牝馬15勝、牡馬7勝。

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